厚生年金の企業負担増やせる特例 対象は年収156万円未満で検討
厚生労働省は、労使で折半している厚生年金保険料の負担割合を見直し、企業負担を増やせる特例の対象を、年収156万円(月額賃金13万円)未満とする検討に入った。年収106万円を超えると社会保険料が発生してパート従業員らの働き控えを招く「年収の壁」対策の一環。企業が保険料の一部を肩代わりすることから、補助や助成の仕組みも検討する。 【表】モデル世帯の厚生年金の給付月額の推移 厚生年金の保険料率は18・3%で、特例は労使合意を前提とする。政府が昨年10月から実施している「年収の壁・支援強化パッケージ」は2025年度までの時限策のため、早ければ26年度から導入する。 配偶者に扶養されるパート従業員でも、「週20時間以上」などの要件を満たせば厚生年金の加入対象となる。特例では、年収106万円からおおむね156万円で働き控えが意識されると想定し、その範囲で手取り減を意識しないで働けるよう企業負担を増やすことを認める。 ただし、企業が10割負担することは認めない。労使の保険料の総額は変わらないため、従業員の保険料が軽減されても将来の年金受給額には影響しない。 厚労省は10日の社会保障審議会年金部会でこうした方向性を示し、来年の通常国会に提出する関連法案に盛り込む方針。【宇多川はるか】