毎年“約2,900人”が「子宮頸がん」で命を落とす…がんになるリスクを減らす「HPVワクチンの接種」を解説
◆HPVワクチンによる副反応
HPVワクチンは新型コロナワクチンと同じく、筋肉注射という方法で接種しますが、主な副反応として、接種を受けた部分の痛みや腫れ、赤みなどの症状が挙げられます。また、まれに呼吸困難やじんましんといったアレルギー症状や、頭痛、吐き気、手足の力が入りにくい、といった神経系の症状などの重い症状が起こる場合もあります。 早田さんは「HPVワクチン接種が原因か分からないものも含めまして、接種後の重い症状として報告があったのは、ワクチンを受けた方1万人あたり3人~5人といわれています。もし、接種した際に気になる症状が現れましたら、医師にご相談いただければと思います」と話します。 ワクチンを接種するかどうかの判断は、ワクチンを接種することで“がんを予防する可能性が高まる”というメリットと、接種後に起こりえる副反応のリスクを比較して自分で判断する必要があります。ただし、小学6年から高校1年相当の女子の場合は、自分の判断と同時に、接種する際は保護者の同意が必要です。
◆公費で接種する場合の注意点
HPVワクチンを公費で接種する場合、今の高校1年相当の子には注意点があります。というのも、1回目を受けてから接種が完了するまでに約6ヵ月かかるため、2回目の接種のときに高校2年生になっていると自己負担しなければならなくなるため、「高校1年相当の女の子が合計3回の接種を公費で受けていただくには、9月末までに1回目の接種を済ましていただく必要があります」と早田さん。 また現在、公費による定期接種の対象だったにも関わらず、HPVワクチン接種の機会を逃した方を対象にした「キャッチアップ接種」が現在おこなわれています。 HPVワクチンの接種を個別に推奨する取り組みは2013年4月からスタートしましたが、接種後に報告された症状について十分に情報提供できない状況があり、約9年間(平成25年6月から令和4年3月)は取り組みを差し控えていた時期がありました。 しかし、2021年11月の専門家の会議で、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが改めて確認され、ワクチン接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、2022年4月からは個別に接種を推奨する取り組みが再開されました。 そうした状況を踏まえ、HPVワクチン接種の機会を逃した平成9年度生まれ~平成19年度生まれを対象におこなわれています。ちなみに、キャッチアップ接種の締め切りは2025年3月末までなので、高校1年相当の女子と同様に、今年の9月末までに1回目の接種を受けないと、公費の補助で接種を完了することができません。対象の女性はHPVワクチン接種の判断を早めにおこないましょう。 また、子宮頸がんを予防するために、20歳になったらHPVワクチンの接種をしてもしなくても、子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。子宮頸がんを早期発見して治療を受ければ、多くの場合は命を落とさずに治すことができます。 そのほか、子宮頸がんやHPVワクチンについてより詳しく知りたい方は、お住まいの自治体からの案内や、厚生労働省のホームページをご確認ください。 最後に早田さんは「子宮頸がん、そしてHPVワクチンについて理解を深めて、親子や友達同士で話をしてみたり、かかりつけの先生などにご相談いただければと思います」と呼びかけました。 番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「子宮頸がんとHPVワクチン」について復習します。村上は“子宮頸がんの定期健診”をポイントに挙げ、「私も行っていますけれども、皆さんも定期的に検診に行きましょう!」と声を大にします。 一方、杉浦は“若いうちから子宮頸がん予防 HPVワクチン”と書き、「子宮頸がんを若いうちから予防するために、HPVワクチンの存在を知っておくことが大事かなと思いました」とコメントしました。