「真っ青になり、震えていました」チャールズ国王は元妻ダイアナ妃の死にどう向き合ったのか
「すべてが現実のことと思えない」パリ行きの飛行機で皇太子が語ったこと
チャールズ皇太子はその日、ダイアナ元妃の姉たち、レディ・セーラ・マコーコデール(上の写真左)とジェーン・フェローズ男爵夫人(同中央)とともに、パリに向かいました。 皇太子はこのとき、エリザベス女王の意向に反して王室専用機を使用し、ダイアナ元妃の棺とともに、ロンドンに戻りました。アンダーセン氏は前述の著書でこのときの皇太子について、次のように記しています。 「皇太子が元妃の死にどれほどのショックを受けたか、人々は理解していないと思います。病院に到着し、霊安室で元妃の遺体を前にした皇太子を見たという看護師たちは、その顔にはありありと、ショックを受けている様子が現れていたと述べています」 その後、空港に向かう車の中で皇太子は、当時の駐仏英大使、マイケル・ジェイ氏に対し「すべてが現実のことと思えない」と話したといいます。 皇太子が王室専用機でパリに向かったのは、注目に値することでした。ジャーナリストのリチャード・ケイ氏は『ダイアナ 世界を揺るがせた7日間』で、こう語っています。 「それは驚くべきことであり、勇気ある行動でした。皇太子はすでに離婚した元夫であり、ウィリアム王子とヘンリー王子の父親であるという以外に、そこにいるべき(道徳的な)道理はありませんでした」 「ですが、皇太子は王室専用機でパリに行くことを主張しました。女王は認めませんでしたが、皇太子はダイアナ元妃のために、そうすることを強く訴えました。元妃の生前に、皇太子がそこまでしたことは一度もありませんでした」 皇太子は結局、元妃の姉たちとともに第32王室飛行隊が運用する専用機に乗り込み、王旗に包まれた元妃の棺とともに、パリから戻りました。
『ニューヨーク・タイムズ』紙はこのとき、皇太子の対応について次のように報じています。 「ダイアナ元妃は、前年に成立したチャールズ皇太子との離婚により、“妃殿下”の称号を使用する権利を手放しています。そのため、理屈の上ではもはやロイヤルファミリーの一員ではなく、王族としての葬儀が執り行われるべきというわけではありませんでした」 「ただ、それでも元妃は、ウィンザー朝における未来の国王の母親です。その遺体を王室専用機に乗せて帰国させるという皇太子の決断は、そのことを改めて確認するものとみなされました」 帰国したチャールズ皇太子はすぐに、王子たちが滞在していたバルモラル城に向かいました。そして、親子はその数日後にロンドンに戻り、元妃が暮らしていたケンジントン宮殿の周囲に供えられ、山のように積みあがった花束を見て回りました。