“オバマのファン”だったイーロン・マスクがトランプ派に転じて家族をぎょっとさせた一言とは「2024年のトランプ再選なんてまず無理だろ?」
恋人から「なにそれ? 4ちゃんででも拾ってきたの?」と言われ…
この年のあいだ、マスクの政治態度は揺れ動く。 「私が支持するのは共和党の左半分と民主党の右半分だ!」 とのツイートを行いつつも、実際には右傾化が深まり、周りに驚かれる。右翼系のミームや陰謀論をマスクから受け取った恋人のグライムスは、こう返したという。 「なにそれ? 4ちゃんででも拾ってきたの? 極右にそっくりな物言いになってるよ?」 やがて周知の通り、マスクは陰謀論めいた発信を行うようになってゆく。 そして今から思うと決定的とも言える一言が、同年4月にマスクの口から飛び出していた。 ツイッター買収をまとめていた同年4月の金曜日、ロサンゼルスのウェスト・ハリウッドの屋上レストランで、マスクは息子4人と夕食をともにしていた。ツイッターをあまり使わない息子たちは、なぜ買収したのかとマスクに尋ねた。 「あらゆる人を歓迎する公共広場がデジタル世界にあって、みんなに信頼されているというのは大事なことだと私は思うんだ」 「そうじゃなきゃ、2024年のトランプ再選なんてまず無理だろ?」 軽口を飛ばすマスク。子どもたちがぎょっとなったのに対して 「冗談だよ、冗談」 と、笑ったそうだ。しかし、2024年となった現在、それは冗談ではなくなった。
「文春文庫」編集部