TikTokでトレンドの「アニマルベースダイエット」栄養士が解説
アニマルベースダイエットにメリットはある?
アニマルベースダイエットの実践について、栄養士からお墨付きを得るのは難しいかもしれない。アニマルベースや肉食のダイエットを行う人たちがダイエットを始めて体重が落ちたと言っていることに、栄養士はとくに驚かないという。 高たんぱく高脂肪の食事は、多くの人にとって満足感がある(つまり満腹感を持続させる)ことから、一日あたりの総摂取カロリーが少なくなり、理論的には減量につながる可能性があります、と語るマクグラスさん。 さらに、アニマルベースの食事は体をケトーシス状態にすることで体重を減らす可能性がありますが、その体重はダイエットをやめたらすぐに戻るでしょう、とフィセックさんは話す。(簡単に説明すると、ケトーシス状態は、体がエネルギーを得るためにブドウ糖ではなく脂肪を燃焼するときに起こるもの。) 「短期間の持続不可能な減量を除けば、この食生活を一定期間続けることの実質的な『メリット』はありません」と話すフィセックさん。「この食事法は非常に脂質が高く、短期的および長期的な健康にとって不可欠な栄養素が不足しています」
ケトジェニックダイエットとはどう違う?
ケトダイエットは、高脂肪、中たんぱく質、低糖質のダイエット。数年前に流行したとき、多くの栄養士がその制限の厳しさに懸念を示していたけれど、アニマルベースの食事や肉食ダイエットはさらに厳格だ。 ケトダイエットでは、低炭水化物の野菜や果物、ナッツ類、シード類など、非アニマルベース食品の摂取が認められています、とメニングさんは話す。また、摂取カロリーの10%までなら、炭水化物の摂取が許されている。しかし、肉食ダイエットはより制限的で、炭水化物の摂取はほとんど認められない。
アニマルベースダイエットの評価は?
このダイエットに対して栄養の専門家が懸念を抱く大きな問題は、心臓と腸の健康に極めて重要な食物繊維が極端に少ないこと。食物繊維は消化管の動きを促進するだけでなく、血中の悪玉コレステロールを減らす働きをもつ。動物食品には、植物食品で不足している栄養素の飽和脂肪酸が多く含まれる傾向があるけれど、過剰に摂取すると心臓の健康に害を及ぼす可能性がある。 飽和脂肪酸はバター、牛肉、豚肉などに多く含まれるため、肉食ダイエットを行う人は、飽和脂肪酸を過剰に摂取していると考えて間違いないでしょう、と話すムーディーさん。「飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールと闘う果物や野菜の食物繊維や抗酸化物質がなければ、健康に深刻な害を及ぼす可能性があることから、これは問題です」と彼女は話す。 専門家によると、全体的に見て「アニマルベースの食事」の欠点は潜在的な健康メリットをはるかに上回り、この食生活を続けると深刻な健康被害を引き起こす恐れがあるという。「はっきり言って、私は誰に対しても肉食ダイエットをお勧めしません」とハーディーさんは語る。 translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images