『サンダーボルツ*』は新たなるアベンジャーズに? 予告編に登場した“ボブ”の正体を考察
こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今回は先日公開された、2025年5月公開のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画最新作『サンダーボルツ*』の予告編解説です。 【写真】コミコン会場に集結した『サンダーボルツ*』メンバー 『サンダーボルツ*』とは、MCUのクセ者ヒーローやヴィランがチームを組み活躍するアクション大作です。事実上の主役は新ブラック・ウィドウのエレーナ(フローレンス・ピュー)とキャプテン・アメリカの盟友バッキー(セバスチャン・スタン)と思われるので、映画『ブラック・ウィドウ』、ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の続編ともいえますが、この予告を見る限りそうした予習はあまり必要ないでしょう。とんでもない連中が集められヤバい事件に巻き込まれていく、アクションエンタメの王道ともいえる展開を楽しむ作品になりそうです。 DCにはハーレイ・クインらヴィランたちがチームを組まされ危険なミッションに挑む『スーサイド・スクワッド』という作品がありましたが、まさにサンダーボルツは“MCU版スーサイド・スクワッド”ですね。 早速予告編の気になるところを見ていきましょう。以下「○分○秒め」は予告編における、該当部分の分秒数を示しています。 まず、サンダーボルツの面々は予告の登場順に、ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフの“妹”でナターシャと同等のスキルを持つエレーナ、ナターシャとエレーナの“父”で、かつてロシアのスーパーソルジャーだった、レッド・ガーディアンことアレクセイ(デヴィッド・ハーバー/両者とも『ブラック・ウィドウ』に登場)。キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースの盟友だったが悪のヒドラ党により洗脳され、強化された肉体と人工アームを武器に恐るべき暗殺者として暗躍していたウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ(『キャプテン・アメリカ』シリーズに登場)。2代目キャプテン・アメリカに任命されたが、任務中の過激なふるまいから世間からバッシングを受け失墜したヒーロー、USエージェントことジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル/『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に登場)。戦う相手の技を見ただけで完コピできる恐るべき才能を持った刺客タスクマスターことアントニア・ドレイコフ(オルガ・キュリレンコ/『ブラック・ウィドウ』に登場)。少女時代に量子実験の事故に巻き込まれ、あらゆる物体をすり抜ける特殊な身体となってしまったゴーストことエイヴァ・スター(ハナ・ジョン=カーメン/『アントマン&ワスプ』に登場)です。 どうやらエレーナらは虚しさを感じながら生きているようです。そんな彼女があるミッションで秘密基地みたいなところに潜入します。ここからがこの予告編のハイライト。1分23秒目あたりからですね。ここで彼女はUSエージェントの襲撃を受け、タスクマスターからも弓矢で狙われ、さらにゴーストがUSエージェントに戦いを挑みます。自分以外がすべて敵という状況のバトルロイヤル。この戦いでそれぞれの持つスキルが披露され派手な見せ場となると同時に各キャラの自己紹介を兼ねています。 例えばエレーナの投げたナイフをゴーストが肉体を非実体化させかわします。USエージェントというのは、闇落ちしたキャプテン・アメリカみたいなキャラなので全体のコスチュームは彼に似ているし、また盾が黒ずんでいるのも象徴的です。 この戦いの最中、ボブと名乗る男が現れます。着ているものからみてずっとこの施設にいたのでしょうか? ここで注目したいのはボブという名前。恐らく彼はマーベル・コミックに登場するロバート・“ボブ”・レイノルズです。そしてこの人物は別名セントリーという超人なのです。セントリーはDCのスーパーマンに匹敵する絶大なパワーを持ち、その力は特殊な血清によって後天的に手に入れたもの。コミックのセントリーはSの字を思わせるベルトをしています。この予告編の2分37秒目あたり、ボブがボロボロに穴のあいた服を着ています。その後に激しい銃撃と落ちる薬莢。つまりこのシーンはどこかの部隊がボブに銃弾を浴びせたが、彼の体はそれをものともしなかったということを表しています。まさにスーパーマンに匹敵する鋼の肉体の持ち主ですよね。そして2分56秒目、コミックのセントリーのベルトを彷彿させるエンブレムが映ります。これも彼がセントリーであることを裏付けています。このセントリーは“ヴォイド”という邪悪な二重人格を持っていて、おそらくエレーナたちは誰かの命を受け別々にこの施設に派遣されたのではないか。そして、その目的はこのセントリーの捕獲(ないし殺害)だったのかもしれません。なおこの映像はサンディエゴ・コミコン2024のマーベル・スタジオのパネルの時に初披露され、その時会場内が大拍手だったのを思い出しました。 ではエレーナたちをここに向かわせたのは誰か? 2分31秒目のパーティのシーンで笑顔を見せている女性でしょう。3分1秒に登場する彼女はサンダーボルツの面々に語り掛けています。彼女はヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)、通称ヴァルです。映画『ブラック・ウィドウ』の最後でエレーナの前に現れ、彼女にクリント・バートンことホークアイ殺しを促したり、『ファルコン&ウィンターソルジャー』では行き場のなくなったUSエージェントをスカウトしていました。さらに『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』では元夫を逮捕し、超金属ヴィヴラニウムを狙っているように描かれていました。そう、彼女はここ数作のMCUで暗躍しているのです。しかもニック・フューリーのように地球を守ろうとかではなく、ちょっと悪どい計画に乗っかり、訳ありヒーロー&ヴィランを自分の持ち駒にしているのかも。ヴァルがなぜこうしたクセ者ヒーローやヴィランを集めているのか? ヴァルはセントリーが別人格ヴォイドの覚醒によって悪の超人になる前にそれを食い止めるようとしているのかもしれません。でもそれならサンダーボルツの連中を使わず、他のヒーローに依頼すればいいのです。あえてそうしないのは理由がある。秘密裏にセントリーをどうにかして処理したいのかもしれない。あるいはこのセントリーでさえ自分の手下としてスカウトしようとしているのかもですね。 そしてヴァルが行くところでは、なぜかアベンジャーズのことがちらつきます。2分31秒目のパーティシーンにはロキのあの杖が飾られており、会場の垂れ幕には「バトル・オブ・ニューヨーク」と書かれています。「バトル・オブ・ニューヨーク」とは2012年の映画『アベンジャーズ』のクライマックスの戦いのことです。 そして、3分1秒目の場所はアベンジャーズ・タワーの一室のようです。ヴァルがアベンジャーズのことを世間にリマインドさせながらサンダーボルツを動かしているのが気になりますね。彼女は自分が組織したサンダーボルツを新たなるアベンジャーズとして世にPRしようとしているのではないか? そのチームの目玉にセントリーが欲しかったのかもしれません。実際セントリーはアベンジャーズのメンバーだったこともあります(コミックの『ニューアベンジャーズ』において)。