お母さん、ごめんね…「老人ホームに入居の母」78歳で逝去。遺品整理で見つけた日記に「49歳のひとり娘」が号泣の理由
要介護4の母自らが「老人ホームに入りたい」…笑顔で暮らしていたと思っていたが
もっと介護サービスを活用する。女性には、そのような選択肢もありました。しかし「母は人見知りする性格なんで。家族のほうが安心する」と、必要最低限しか利用していませんでした。 しかし誰の目から見ても無理していることは明らかだったといいます。当然、母親本人も。娘に無理をさせていることが心苦しかったのでしょう、自ら「老人ホームに入りたい」と言い出したといいます。 ――絶対、自宅で過ごしたいはずなのに……でも母は一度言い出したら、絶対に首を横には振らないので 結局、母は老人ホームへ。女性は親の介護から解放されます。 ――老人ホームの共同生活……母は大丈夫だろうか 女性は心配したといいますが、面会に行くたびに母はいつも笑顔でこう答えます。 ――子どもじゃないのだから、そんなの大丈夫よ ――ホームの暮らしは楽しいわ。お友だちもできたし こうしてホームでの暮らしは2年ほど続き、母は逝去。穏やかな最期だったといいます。女性としてもしっかりと看取ることができたと思っていましたが、遺品整理の際に母の日記帳を見つけ、その思いは180度変わります。日記に綴られていた、母の本音。 ――今日も誰とも話さなかった ――ここ(老人ホーム)は寂しい ――今日はXX(女性の名前)が来てくれた。嬉しい ――また寂しい日々が始まる 麻痺のない、利き手ではない手で書いたからでしょうか、読むのも大変な字ではありましたが、そこには笑顔で隠されていた母の本音が綴られていました。 内閣府『令和3年度高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』では、日常のなかで孤立を感じる高齢者の実態を垣間見ることができます。 「孤独感」に対する3つの質問に対して、「高齢者向け住宅・施設に入居する高齢者」の回答は以下の通り。 Q.自分には人との付き合いがないと感じることがあるか A.ある…79.2%* Q.自分は取り残されていると感じることがあるか A.ある…62.5%* Q.自分は他の人たちから孤立していると感じることはあるか A.ある…62.5%* *「常にある」「時々ある」の合計 住居形態別にみた際に、持ち家や賃貸住宅などを圧倒するほど、老人ホームで暮らす高齢者は孤独感を抱きやすい傾向にあるといえるでしょう。 確かに、自宅にいたころは社会とのつながりを感じて暮らすことはできますが、ホームに入居してからは同年代との共同生活ではあるものの、一般社会との距離を感じてしまうかもしれません。さらに人見知りだという女性。友人をつくることもできず、ひとり孤独を抱えていた可能性もあります。 ――何が正解だったのでしょう…… 自問自答する日々が続きます。 [参照] 内閣府『令和3年度高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』 厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』