SNSでバズり中、"ロシアンネイル"とは? ちょっと「危険」な施術方法が話題に
海外を中心にバズっているネイルの施術メニューの「ロシア式マニキュア(通称・ロシアンマニキュア)」。クリーンで洗練されたシェイプで知られ、その持続力の高さからSNSで話題だ。非常に特殊なマニキュアのメソッドで、ロシアとその周辺地域が発祥と考えられていることが、メニューの名称の由来だと言われる。 【写真】ネイリストが推す!2024年夏の「6大トレンド」をチェック そんなロシア式マニキュアとは具体的にどんなメニューなのか。そのメリットやリスクなど、セレブリティネイリストが解説する。
ロシア式マニキュアとは?
ロシア式マニキュアは、「非常に特殊な施術で、キューティクルを集中的にケアします」とセレブリティ・ネイリストで、ネイルアート講師を務めるジュリー・カンダレックは説明する。「甘皮処理には、非常にシャープでキメ細かな専用ツールを使い、時にそのツールにはダイヤモンドの破片が用いられています」とのこと。 爪床をひとつのドリルできれいにした後、また別のタイプのドリルで余分な甘皮を除去。最後に爪床を磨く。全く水を使わずに施術を行い、爪や手(足)を水に浸さなくてもいい点も従来のマニキュアとは異なる。 念入りな甘皮処理の他に、特殊なベースコート(爪の長さと強さに対応)を使うのも、ロシア式マニキュアの特徴だ。さらに、ネイルポリッシュは細いブラシを使って可能な限り甘皮ラインのギリギリまで塗る。ポリッシュのタイプで言うと、ロシア式マニキュアには「通常、ジェルかアクリルジェル(時には両方)のコーティングとジェルカラーを使います」とカンダレック。 全工程の所要時間は2~3時間。長期間にわたりきれいなネイルをキープできるが、爪に負担も多く、ダメージを与えるリスクも高い。
ロシア式マニキュアのメリットは?
クリーンな細長シェイプ&ささくれ知らずの甘皮。ロシア式ネイルは、「完璧にヘルシーな爪」が主役だ。カンダレックはロシア式マニキュアのメリットを、次のように説明する。 「甘皮部分が完璧。ダイヤモンドビットで処理すると、形と甘皮がクリーンになり、ジェルやアクリルジェルを甘皮ギリギリまで塗ることができます。だから、細くて長い、健康的な指先になるのです」 さらに、電動ファイルが爪床から余分な皮膚を全て取り除くため、粘着力が非常に良くなり、マニキュアが長持ちする。 潜在的リスクは、他のマニキュアのメニューと同じだとカンダレックは言う。 「きちんと訓練を受けていないネイリストや、ツールをちゃんと消毒していない、あるいは不必要に皮膚を削りすぎてしまうと、感染症や爪にダメージを与える可能性があります。また、ロシア式はかなり高度なテクニックで、ネイルファイルや甘皮カッターがあれば誰でもマスターできるものではありません」 ネイルアーティストのネイマ・コールマンもカンダレックと同意見だ。 「訓練を受けたプロの施術は安全ですが、経験不足の新人は注意した方がいいかもしれません。個人的には、この施術はおすすめしません。甘皮を完全に除去してしまうので、繰り返し行っているうちに慢性爪周囲炎という爪の感染症を起こしてしまう可能性があります」とコールマン。 また、「爪床の周囲の皮膚も除去すべきではありません。赤くなる、硬くなったカルス組織が過剰に再生する、痛み、アレルギーなどとともに皮膚に過度なダメージを与える可能性があります」と続けた。 ロシア式マニキュアは死んだ皮膚である角質ではなく、爪床周囲の甘皮以外の生きている皮膚まで取ってしまうこともよくあるのだ。 ロシア式マニキュアは、技術を完璧にするまで何年もかかる細かく複雑な施術だ。カンダレックは自身のネイルサロンJulie K Nail Artelier(ジュリー・K・ネイル・アトリエ)で3年間このテクニックを提供しているが、もっと学ぶ必要があると考えている。特に、清潔度や安全性について、施術される側も自ら率先してロシア式マニキュアの擁護者にならなければと思う理由だ。 必ず殺菌したツールだけが使われるようにし、ツールをどのように殺菌したか聞く。また、ファイルや木製スティック、バファーなど使い捨てのツールは、前のクライアントに使ったものを再利用していないか確かめる。ロシア式マニキュアには異なるレベルの殺菌が求められる(病院レベルの消毒)から、有資格で経験を積んだネイリストだけがこの施術をすべきなのだ。 セレブリティーネイルアーティストのエンジェル・マイ・リンは、「ロシア式マニキュアは正しく施術されればとても美しい」と言う。「でも、誰にでも向くとは思いません。特に甘皮の周囲が敏感肌の人は注意ですね」とアドバイス。実際、ロシア式マニキュアに向かない人はいる。 また、アメリカの中にはロシア式マニキュアが違法の州もある。 「ニューヨーク州では、私たち(プロのネイリスト)は生きている皮膚をカットするのは許されていません」とカンダレック。州美容師業委員会が、各州の法律を監督しているが、甘皮以外の皮膚に関してはどのくらいギリギリだと「近すぎる」のかはグレーゾーンになっているという。