パンダジャーナリスト中川美帆コラム「2月21日・シャンシャン中国へ」
雅安碧峰峡基地へ
飛行機は、午後5時25分(日本時間で午後6時25分)に成都双流国際空港に到着する予定です。阪急阪神エクスプレスの現地法人のスタッフが成都の空港で待機しますが、同社の担当範囲は、飛行機が成都の空港に到着するまで。当初は、中国の空港における通関事務も同社が担う予定でしたが変更となりました。税関や検疫といった輸入に関する手続きは、中国の国家林業草原局が所管する「中国ジャイアントパンダ保護研究センター」(CCRCGP)の指定業者が担います。 こうした手続きはスムーズに済む見通しですが、成都の空港を出る頃には日が暮れているでしょう。シャンシャンの両親がCCRCGPの雅安碧峰峡(があんへきほうきょう)基地から上野動物園へ向かう際は、成都の空港近くで1泊しました。一方、シャンシャンは成都にとどまらず、空港を出たらすぐトラックに積まれて、雅安碧峰峡基地へ向かう予定です。ちなみにシャンシャンの両親が上海を経由して日本に着いたのは、ちょうど12年前、2011年2月21日です。 冨田副園長と齊藤さんもシャンシャンと一緒に雅安碧峰峡基地へ行きます。二人は2月25日に中国を出て日本に戻ります。シャンシャンは、中国語に慣れる練習はしていません。また、上野動物園では、伊豆産の竹を食べていましたが、竹の選り好みが激しくて有名でした。ニンジンも苦手です。中国では、もしかしたら最初は言葉や食べ物の違いに慣れないかもしれませんが、じきに順応していく見通しです。 シャンシャンは、雅安碧峰峡基地で約1カ月間の検疫を受けます。検疫中に、今後、どの施設で暮らすかが決まります。候補地は、雅安碧峰峡基地を含む、CCRCGPの4カ所の基地。いずれも四川省にあります。このうち3カ所は公開されていて、入場料を支払えば観光客も入ってパンダたちを観覧できます。シャンシャンが一般公開されて、日本から観光目的で中国に入国できるようになれば、中国で「再会」することも叶うかもしれません。シャンシャンは中国での繁殖を期待されていますが、まずはどこにいても、元気で幸せに暮らすことを願いたいと思います。
中川美帆