増加する「適応障害」 予防・再発防止で企業に求められるメンタルヘルスケアとは?
メンタルヘルスケアの3ステップ
編集部: 3ステップの内容を簡単に教えてください。 岩谷先生: 一次予防ではメンタルヘルス不調を未然に予防することを目的に、職場環境の改善や従業員が自分自身で行うストレス緩和ケアを行います。二次予防では、従業員のための相談窓口を設置したり、産業医との相談の機会を設けたりします。 三次予防はメンタルヘルス不調で休職した従業員への職場復帰をサポートします。安心して職場復帰できるように精神面でフォローしたり、業務量を調整したりするほか、専門家による職場復帰支援プログラムの実施などが挙げられます。 編集部: 特に適応障害の従業員に対しては、どのような取り組みが必要でしょうか? 岩谷先生: 適応障害は自分の置かれた環境に適応することができずに発症します。そのため、個人の環境に問題がないか、必要に応じて配置転換をしたり業務内容を配慮したりするほか、人間関係や職場の文化・風土などを改善することも必要です。 編集部: 適応障害を再発させないためにはどのようなことに注意が必要でしょうか? 岩谷先生: 大切なのは復職のタイミングです。休職しているときは早く職場復帰しなければいけないと、焦りが出るかもしれませんが、再発をしないためにも担当医師の意見も考慮しながら、ゆとりを持って復職することが必要です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 岩谷先生: 個人の特性によって、同じ環境にあっても適応障害になる人とならない人がいます。適応障害を発症しないためには、まず、自分がどういう性格か、能力適性があるのかなどを自覚することが重要です。 ほかの人にとってはなんてことのない環境でも、自分にとっては大事に感じられることもありますし、心身の調子が悪くなって適応障害にならないとは限りません。 もし自力で自分の適性を知ることが難しい場合には、産業医や精神科医などの手助けを借りながら、自分に対して理解を深めるのも良いと思います。