台湾大生、中国の学生ら訪問に抗議 対等な交流求める 「中国台北」発言への批判も
(台北中央社)馬英九(ばえいきゅう)元総統が董事長(会長)を務める馬英九基金会の招きを受け、中国の学生らが台湾を訪問している。台北市の台湾大学では3日、同大の学生らが訪問団の到着時に抗議活動を行い、双方の学生同士の対等な交流や中国の民主化などを訴えた。中国の学生が訪台期間中に野球の台湾代表チームを「中国台北チーム」と表現したことを踏まえ、「中国台北」の文字にバツ印が書かれた紙を掲げる学生もいた。 訪問団は11月27日に台湾に到着。北京大学など7大学の学生や教員40人が、今月4日まで台湾各地の大学や観光地などを訪れる。1日に中部・台中市の野球場を訪問した際に一人の学生が「中国台北チーム」が野球の国際大会・プレミア12で優勝したことを祝うと述べ、議論を呼んだ。台湾が多くの国際大会に参加する際の名義「チャイニーズタイペイ」は台湾では「中華台北」としている。 台湾大の学生は訪問団の到着時、台湾や香港で使われる繁体字や、主に中国で使われる簡体字で書かれた紙を掲げて声を上げた。紙には「台湾大生は自由を愛する」「中国の民主化を支持」「天安門事件(犠牲者)の名誉回復を」「香港の民主主義と自由を支持」などと書かれていた。 抗議を発起した社会科学部の学生は、さまざまな学科の学生が自発的に集まったと説明。いずれも民主主義や自由、人権を愛する学生だとし、対岸(中国)の学生と民主的な交流をして、中国では議論できない民主主義、自由、人権について話をしたいと語った。 別の学生は、中国の学生らの訪台や交流を支持するが、対等と開放を基礎に行われるべきだと主張。今回の訪問団が台湾大に来ると知った際、学生会や学部の事務室に交流に参加したいと申し出たものの、スケジュールは公表できないとの回答が返ってきたと明かし、主催者は学生の参加に関して不公平で、今回の訪問は(交流ではなく)見学の性質を帯びていると語った。 リオ五輪・東京五輪卓球男子の金メダリスト、馬竜選手と東京五輪射撃女子の金メダリスト、楊倩選手も学生として訪問団に参加している。台湾大では抗議する学生たちの一方で、馬選手を歓迎するファンの姿もあった。 ▽「中国台北」発言に対する各方面の反応 中国の学生が「中国台北」と発言したことに対し、台湾で対中政策を担う大陸委員会は2日、台湾の人々の感情を傷つける不適切な発言だと指摘して「深い遺憾」を表明した。また馬英九基金会が訪問団の来台申請に当たって「活動と関係のない政治的な発言や宣伝は行わない」と書面で約束していたとし、同基金会に約束を守るべきだと伝えたと説明した。 一方、馬英九基金会の蕭旭岑執行長(CEO)は3日、両岸(台湾と中国)で使われている用語は異なると主張。「中国台北」と発言した学生は対岸で使用されている用語を使ったもので、これも表現の自由の一つだと述べた。 (謝怡璇、李雅雯/編集:田中宏樹)