【セントライト記念】ダービー組は前走人気、上がり馬は勢いを重視 好データ該当はアーバンシック
関東馬、逆転の秋へ
東の菊花賞トライアルはグレード制導入後の1984年以降、関東馬29勝、関西馬10勝(地方1勝)。とはいえ、3着以内に菊花賞の優先出走権が与えられるようになった91年(アサキチ)まで関西馬は7年間、出走自体なかった。今とは違い、東西の行き来が盛んでなかった時代だ。 【セントウルステークス2024 推奨馬】夏は大得意、勝率50%で複勝率80%! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 直近の10年では関東6勝対関西4勝と接戦を演じており、時代は変わった。そもそも馬券も東西どちらも1レースから購入でき、東西対抗の意識はもはやないといっていい。 セントライト記念の接戦が物語るように関西馬が強い時代は長い。それでも、昨年の三冠は関東馬が総なめにし、2022~24年上半期でGⅠは関東30勝、関西34勝と互角だ。 今年の春二冠は牝馬こそ関東馬総どりだが、牡馬は関西馬が2連勝。菊花賞はなんとしても関東馬が意地を見せたい。いまや東西なんか関係ない。それは承知している。古い感覚かもしれないが、東京と中山で競馬を覚えた身としては関東馬に肩入れせざるを得ない。 セントライト記念は関東の重賞勝ち馬コスモキュランダや、皐月賞4着のアーバンシックが出てくる。逆転の秋、主役をつとめてほしい。データは2014年新潟を含め、過去10年分を使用する。 1番人気【3-5-0-2】勝率30.0%、複勝率80.0%を筆頭に4番人気以内8勝と上位人気はそう崩れない。秋は春の勢力に上がり馬が加わり混戦に拍車がかかるも、上位とそれ以下との差は開いてくる。距離も延び、力の有無は鮮明になりつつあるからだろう。 実績馬は休み明けであり、言い訳がきく状況。それでも大きく崩れない。春に比べ、実力差は縮む季節ではあるものの、全体的というより局地的のようだ。上がり馬は割り込めるだけのインパクトがほしい。
着順不問! 前走日本ダービーは9番人気以内が◯
夏の上がり馬的存在は、ラジオNIKKEI賞3着ヤマニンアドホック、東京で2勝目をあげたアスクカムオンモアあたりか。ヤマニンアドホックの前走は差し馬に利があったハイペースを好位からしぶとく食い下がった。春は中山で【2-1-0-0】。逃げ差し自在で器用さも兼ね備える。 とはいえ、前走ダービーは【5-7-5-22】勝率12.8%、複勝率43.6%と強力。ここ2年アスクビクターモア、ソールオリエンスと1番人気で2着止まりなのは気になるが、注目せざるを得ない。 その着順内訳は2~5着【2-4-1-4】と、ダービー掲示板確保はさすがだ。しかし、今年は該当馬なし。であれば、10着以下【3-3-2-11】勝率15.8%、複勝率42.1%だってチャンスはある。もちろん、コスモキュランダら6~9着も【0-0-2-7】複勝率22.2%で嫌う理由はないが、たとえダービー大敗でも、ダービーに出走した事実は重い。 10着以下だった馬のうち、ダービー9番人気以内は【3-2-1-3】勝率33.3%、複勝率66.7%。なにかしらの理由で大きく負けたとはいえ、穴人気に支持されるぐらいの馬であれば秋に一変してくる。このデータに合致するのがアーバンシックだ。 春は皐月賞4着、ダービー11着。超スローペースのダービーで初角14番手では正直ノーチャンスだった。中山の重賞2、4着なので、ここで一変の可能性は十分ある。 ちなみに着順に関係なく、ダービー9番人気以内【5-6-3-8】勝率22.7%、複勝率63.6%と好成績。10番人気以下は【0-1-2-14】複勝率17.6%にとどまる。ダービー出走も重いが、9番人気以内の支持はさらに重い。コスモキュランダも当然巻き返していい。中山では急坂を上がってからの伸びが違う。 前走ラジオNIKKEI賞【3-1-1-11】勝率18.8%、複勝率31.3%は上がり馬とはいえ、前走で重賞を経験した分、春のクラシック組との差は縮まっている。ポイントは騎手。乗り替わり【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%、継続騎乗【1-1-0-6】勝率12.5%、複勝率25.0%と乗り替わりがいい。 セオリー通りなら継続がよさそうなものだが、いざ菊花賞へ向け、鞍上を替えて菊花賞とセットで挑もうとする形がいい。ただ、想定ではヤマニンアドホックもログラールも継続騎乗だ。 前走条件戦は着順が大事。前走1着【1-2-2-39】勝率2.3%、複勝率11.4%。2着以下【1-0-0-27】。2勝クラス3着から勝ったミッキースワローもいるが、基本は勝った勢いそのままにというパターンだ。前走が2勝クラスでも負けていれば、前走1勝クラス1着を上にとる。そんなレースだ。2勝クラスが上にみえるがそうではない。上がり馬らしく勢いを大事にしよう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳