介護美容で…「最後に爪をキレイにしてほしい」その2時間後亡くなったお客さん 「やりがいは”笑顔”」介護美容に全力を尽くす女性に迫る
介護が必要な高齢の方にメイクやネイルなどを行う「介護美容」を知っていますか?お化粧やネイルなどをすることで、見た目だけではなく、心身面にも効果があるとされています。 【実際の写真5枚】施術の様子(kaigobiyou_haruさんより提供) 今回は、会社員を辞め介護美容の事業を始めた箱石志保さんに、介護美容を起業するまでの道のりやその思いなどについて聞いてみました。
会社員から介護美容の事業を始めるまで
志保さんは、一橋大学大学院経営学修士コース(MBA)修了後、大手企業の社員として働き始めます。しかし、その先のキャリアが見えず、自分でビジネスをしたいと思っていたそう。 もともと祖父と母の会社を継ぐ予定でMBAを取得していたため、いつか起業をしたいと考えていたともいいます。そうした思いを抱いているときに、介護美容のスクールの広告を見て「これが天職だ!」と思った志保さんは説明会へ参加することに。 ※MBA…MBAとはMaster of Business Administrationの略です。日本では経営学修士と呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位であり、資格とは異なります。 また、志保さんは幼少期から母子家庭で育ったため「祖父母に育ててもらったようなもので、祖父母に対して特別な思いがあります」と語ります。そして、介護美容を見つけたころは、祖父母の介護が必要になっていた時期でした。そのため、ますます介護美容が天職だという思いが強くなったのです。 しかし、介護美容の道に進みたいと考えた志保さんでしたが、そう簡単にはいきませんでした。 まず、志保さんの母親とご主人が大反対。 そのとき勤めていた会社は非常に優良なホワイト企業。そして順調にキャリアも積んでいたので「そのまま勤めればいいのに」ということからでした。 次に会社に退職の意向を伝えてみますが、かなり引き留められました。 「希望の部署があればそちらへの異動でもよいから」などと打診されたとも話します。 ですが志保さんの意志は変わらず、退職をして介護美容への起業準備へと進み始めました。 そこで介護美容スクールに通い始めますが、介護の仕事についてはまったく経験がなかったため、前職を退職後、スクールに通いながらデイサービスの介護士として経験を積んだといいます。 「正直、スクールでの勉強や介護士の仕事は、大変だなと思うことはほとんどなく、新しく学ぶことばかりで新鮮で楽しい気持ちでした。 特に介護の仕事は、排せつや入浴介助なども経験させてもらいましたが、汚いとか嫌と思ったことはなく『今後にいかせるな』という思いで携わっていました」と当時のことを振り返っていました。