サッポロ不動産開発 福吉敬が伝えたい、コミュニケーションの本質を捉える「論理的データ思考」
自分の書いたオリエンシートはすべて残しておく
DD:ほかに気づいたことはありますか? 福吉:成功も失敗もつまびらかにすることの大切さですね。失敗したことは隠蔽したくなりますが、そこには必ず学びがあるはずなので、私はこれまでに作成したオリエンシートなどを全部捨てずに残しています。もちろん、守秘義務の観点から削除すべきものはすべて消していますが、自分が設定したターゲティングの部分などを抜き出して取っておくのです。 当時は自信を持って書いたペルソナが、いま見ると「こんな人いるわけない」と恥ずかしくなることもありますし、反対にあの時代によく書けたなという内容もあります。常に自分の仕事を振り返ることは大事ですね。 会社では「ストレージがいっぱいになったから捨てなさい」とよく言われますが、マーケティング資料は捨てるべきではない、というのが私の持論です。できるだけ触らないストレージを作っておいて検索性を高め、いつでも見られる環境を整えておけば、なぜ成功したか、どうして失敗したかを可視化できて、勝ち筋や負け筋が見えていきます。 黒歴史は捨ててしまいたい気持ちはわかりますが、これは各社やったほうがいいと思います。 DD:自分の恥をさらすことも厭わない姿勢が大切だということですね。 福吉:自分のやってきたことを、さらに進化させてくれる人たちがいたほうが面白いですよね。過去の失敗も含めてプロセスを開示することで、より理解が深まった人たちに次は導き手になってもらいたい。「俺の屍を超えてゆけ」という思いで、これからも人を育てることに力を注いでいきます。 Written by 山本千尋 Photo by 三浦晃一
編集部