悲惨な記憶風化させない 福知山花火大会再開を前に露店事故の伝承碑を近くに移設
京都府福知山市の由良川河川敷で11日夜に開催される花火大会を前に、主催する福知山HANABI実行委員会が9日、過去にあった悲惨な事故を風化させないための伝承碑を、事故現場付近の堤防沿いに移設した。メンバーたちは花をたむけて、手を合わせた。 官民組織が主催した2013年の花火大会で露店の爆発炎上事故が発生し、観客57人が死傷。以降、市が関わる花火大会は開催されていないが、再開を求める市民の声が高まるなか、実行委は被害者との対話もしながら、22年夏にサプライズ形式で花火を打ち上げた。また、事故を風化させまいと、寺町の久昌寺に伝承碑を設置した。 今年、市の後援を受けて花火大会を11年ぶりに新たに開くのを前に、以前に時限的に設けられた献花台に代わって、日常的に参拝ができる場所として、また安全な花火大会を誓う象徴として、国土交通省の許可を得て、堤防沿いの水天宮社横に移設した。
■献花用の800本 生花店で無料配布
11日は多くの人に伝承碑に献花をしてもらえたらと、実行委は花800本を用意。午後2時から広小路通りのフラワーショップ「キャンディー」で希望者に無料配布する。大橋一夫市長も同日に参拝する。 実行委員長の奥田友昭さんは「伝承碑は、事故の記憶を風化させず、次世代に伝えるものであり、また安全な花火大会を開催し、二度と悲劇を繰り返さないという僕たちの誓いでもあります。市民や被害に遭われた方と一緒に前に進んでいきたい」と話していた。