対中投資が急減?:中国の外資企業に何が起きているのか
「勝ち残り」外資にも異変
その横綱3業種に異変が起きている。自動車の異変は中国国産EV(電気自動車)の急速な台頭だ。EV化やネット連携技術で中国に後れを取る外資系自動車メーカーは、中国市場でシェアを落としているだけでなく、東南アジアなど途上国市場でも中国勢にシェアを食われ始めている。
2023年の中国国内の自動車販売シェア
1位 BYD(販売台数:270.6万台/前年比:50.0%/シェア:12.5%) 2位 一汽VW*(販売台数:184.7万台/前年比:3.8%/シェア:8.5%) 3位 吉利汽車(販売台数:141.2万台/前年比:14.4%/シェア:6.5%) 4位 長安汽車(販売台数:137.2万台/前年比:7.7%/シェア:6.3%) 5位 上汽VW*(販売台数:123.1万台/前年比:-1.0%/シェア:5.6%) 6位 広汽トヨタ*(販売台数:90.1万台/前年比:-7.3%/シェア:4.2%) 7位 上汽GM*(販売台数:87.0万台/前年比:-16.1%/シェア:4.0%) 8位 奇瑞汽車(販売台数:81.1万台/前年比:12.9%/シェア:3.7%) 9位 一汽トヨタ*(販売台数:80.2万台/前年比:0.3%/シェア:3.7%) 10位 長城汽車(販売台数:76.0万台/前年比:0.2%/シェア:3.5%) *は外資系ブランド 出典:中商情報網 半導体の異変は、言わずと知れた米中対立、経済安全保障懸念の高まりだ。外資メーカーは売りたい、中国側も買いたいのだが、西側政府の規制によって売らせてもらえない。当初は小さく絞り込まれるはずだった「ご禁制」の範囲もじわじわと広がっており、輸出や投資がしづらくなっている。 さらに中国政府は外国半導体への依存から脱却すべく国産半導体の育成強化にまい進しており、自動車、電子製品など国内のユーザー業界に「外国製半導体を国産に置き換えろ」と指導。西側半導体メーカーは最大市場の中国でのシェアを大きく削られる恐れが生じているのだ。 金融は規制が緩和された5年前とは様変わりした。10年物国債で測った中国の債券利回りは一時、米国より2%も高くて格好の投資先だったのに、今や米国の方が2%も高い。魅力的な投資先が多かった株式市場も習近平政権のアリババ叩きや米中のハイテク対立によってすっかり熱が冷めた。