日本と比べてかなりの違い…米国のとてつもない遺産税控除額、2002年100万ドル→2024年1,361万ドルに、トランプ政権で急拡大
米国はジョージ・W・ブッシュ政権以降、遺産税の控除額がとてつもなく大きくなっています。2002年100万ドルだった遺産税生涯控除額は、2024年に1,361万ドルまで拡大しています。つまりは1,361万ドル以内の遺産ならば税金は発生しません。本連載では、富裕層の国際相続の諸課題について解説します。 【第21回】 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)> 2023.02.07
米国の提出された遺産税の申告書数の推移
米国では、個人の膨大な数の確定申告書を含めて、申告書の収受および処理等のために、全米をブロック(旧称サービスセンター)に分けています。現在では、サービスセンターの名称がキャンパスに改められました。キャンパスに関する資料は、米国内国歳入庁(IRS)発行のPublication6186(以下「2023年改訂版」とします)に記載されています。 遺産税の日米比較ということで、以下は日本の相続税の申告事績で令和4(2022)年分資料です。 (1) 相続税の申告書を提出した被相続人数は15万858人 (2) 税額は2兆7,989億円 2023年改訂版によれば、米国のキャンパスが処理した遺産税申告書は2022年で3万9,000件、贈与税が同年44万1,000件です。 ブッシュ政権による遺産税を減税した前後の申告書数では、2002年(11万4,000件)、2003年(8万7,000件)、2010年(2万3,000件)、2011年(1万3,000件)と減税の効果が出ています。
遺産税申告書の2030年までの予測値
上記のIRSの文書は、1989年以降のキャンパスにおける過去の処理件数以外に、2030年までの申告書処理件数の予測値を掲載している。 遺産税申告書の件数は、2023年(3万5,600件)、2024年(2万200件)、2025年(1万9,400件)、2026年(1万8,700件)、2027年(1万7,900件)、2028年(1万7,100件)、2029年(1万8,300件)、2030年(1万5,600件)となっています。 米国の富裕者数は世界1位です。日本は2022年で申告書数約15万件で、米国の遺産税の申告書件数は日本の相続税申告書件数と比べると圧倒的に少なくなっています。それだけ遺産税で控除される人々が多いということを表しています。
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