コリア国際学園、K-POPを学べるコースは生徒の大半が日本人 韓国への憎悪感情が先鋭化しても、経済や文化交流は進む
大阪地裁は2022年12月、執行猶予付きの有罪判決を出し、確定した。「ゆがんだ正義感に基づく独善的な犯行」としたが、差別犯罪との言及はなかった。金は判決後の記者会見でこう述べ、怒りをにじませた。「判決ではヘイトクライムに対する言及がなく、不十分であったと思わざるをえない。この事件は政治、教育、宗教に対するテロ行為で、社会に大きな衝撃を与えた。日本社会では外国人に対する差別が根強く残っている」 もう一つ、判決後も抱いている思いがある。「本人が謝罪に来るのなら受け入れたい。向き合って話をしたい」。その願いは、まだかなっていない。(敬称略) ▽「文化交流で楽観視できず」 日韓の「対立」と「協調」について、小針進・静岡県立大教授に聞いた。 × × × 韓国文化を好きな人が増えても、日韓間の政治・外交関係をはじめ、日本人の対韓感情全般の改善にはつながらないだろう。文化交流が盛んになっているからといって楽観視してはならず、外交関係悪化を深刻に受け止める必要がある。
だからといって、韓国文化の人気はコスメ、大衆文化、グルメなどの消費行動が対象となっているに過ぎないと過小評価してはいけない。韓国文化に日本人がこれほど「共感」した時代がかつてなかったこともリアルに見つめるべきだ。 文化を巡る肯定的な動きは、長い目で見れば相互理解につながると信じたいが、それほど単純ではない。大学で教えていると、韓国文化に関心を持つ学生は多いと実感する。韓国語の学習者もかつてないほど増えている。こうした学生たちの多くは、文化と政治を巡る認識の差に違和感を覚えている。 若者が日韓関係という課題にぶつかり、勉強してみようという意識が生まれるのは望ましいことだ。だが、それは相手国の政治的姿勢を支持することにはならず、むしろすっきりしない感情が増すばかりとなっている。 実は、こうした感情は、1980~90年代に日本の大衆文化に強い関心を示した韓国の若者がすでに抱えていた。J―POPやアニメを羨望(せんぼう)のまなざしで見ていた韓国の若者は、教育での日本観とのギャップにジレンマを感じていた。この層が大人になったからといって、韓国人の対日外交に対する意識が改善されたわけではない。