海底の坑道には、今も183人の遺体が閉じ込められている…82年たっても政府が調査に後ろ向きな理由 山口「長生炭鉱」の犠牲者と、戦没者との差
「日本政府が積極的な科学的探査をすれば、遺骨発掘は可能だ。遺骨返還問題は遺族のためだけではない。日本と韓国の過去と現在にけじめをつけ、発展的な未来に向かうため当然なされるべき重要なことだと認識してほしい」 ▽「放置しないことが人権を守る」 追悼式後、問題への理解を深めようと、宇部市内でジャーナリスト安田浩一さんの講演会が開かれた。 今年1月、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」に市民団体が設置した朝鮮人労働者の追悼碑を、群馬県が行政代執行で撤去した。安田さんは「大事な歴史の一場面が消されている」と危機感を示した。 長生炭鉱水没事故に関しても、こう力を込めた。「遺骨が見つからないこと、真実を明らかにしないことで、社会が壊れていく。放置しないことが人権、地域、社会を守ることになる」 刻む会は今年、遺骨発掘に向けた調査のため、陸側に残る「坑口」を開ける計画を立てている。 井上洋子共同代表は「事故の日、冷たい海水に呑まれながら坑口を目指して必死に走った犠牲者に対し、坑口を開けることが道義的責任だ」と語った。