米長期債利回り上昇に賭ける動き、トランプ氏復権の可能性に備え
(ブルームバーグ): 11月の米大統領選でトランプ前大統領が返り咲く可能性に金融業界が備え始める中、27兆ドル(約4400兆円)規模の米国債市場では長期債の利回り上昇に賭ける動きが広がっている。
大統領選に向けた第1回討論会でトランプ氏がバイデン大統領よりも優位となったことで、投資家は期間短めの債券を買い、長めの債券を売っている。スティープナー取引として知られるこの賭けが討論会以降、勢いを増している。
2年債と10年債の利回り格差が広がる中、トレーダーが抱えるリスクの規模を示す建玉(未決済約定)は6月28日と7月1日に急増した。結果的に約13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のスティープ化と、2営業日としては昨年10月以来の大きさとなった。
ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「選挙結果を完全に織り込むには時期尚早だが、そこに足を踏み入れるのは恐らく早過ぎではないだろう」と指摘。「最近の動きはベア・スティープナーであり、市場はトランプ氏の勝算が高まっていると想定しているようだ」と論じた。
こうした取引を推奨するストラテジストがここ数日、相次いでいる。モルガン・スタンレーとバークレイズはトランプ氏2期目のインフレ率高止まりと高めの長期債利回りの可能性に備えるよう顧客に呼びかけた。
トランプ氏が勝利ならイールドカーブはスティープ化-モルガンS
この賭けが市場で勢いづくにつれ、建玉はリスク1bp当たり計1570万ドル増加した。これは、新たなスティープナー取引に対する投資家の意欲を示す指標だ。また、期間長めの米国債相場が最近下落している要因に新規のショートポジション構築があることも示唆された。
これら債券の多くは匿名での取引のため、投資している企業の特定は難しい。だが6月28日には、利回り曲線のスティープ化への賭けに沿ったものと見受けられる大規模な先物スティープナー・ブロック取引がデータで示された。