50代になったら肉食になれ!注射や塗り薬などで男性ホルモン補充もいいが、食生活で若さを取り戻すには
■ 50代からは積極的に肉食生活を 更年期障害と診断されたときは、このように不足している性ホルモンを補うホルモン補充治療を行います。更年期症状から解放され、若さと健康の両方を保つことができます。 しかし、医療機関でホルモン補充療法を受けない人でも、普段からホルモンバランスを整える生活を心がけることで心身を若々しく保つことができます。 意識してプラスしていきたいのが、栄養、運動、ときめき(性的活動)です。 年をとってくると食事の量が減って栄養が不足してきたり、男性ホルモンの分泌が減少したり、運動量も少なくなりがちですから、日常生活で補うことが重要です。 なかでも一番改善しやすいのが、食生活です。 脳内の神経伝達物質のセロトニンの不足がうつ症状を引き起こす要因と言われていますが、セロトニンは年齢を重ねるにつれて減少していくため、補う必要があります。 このセロトニンの材料となるのは「トリプトファン」と呼ばれる必須アミノ酸の一種です。「必須」というのは、体にとってなくてはならない大切な成分ということ。この必須アミノ酸は人間の体内でつくり出せないので、食べ物から補給するしかありませんが、トリプトファンの材料はタンパク質です。 ですから、タンパク質が豊富な食べ物を摂る必要があります。 大豆やナッツもいいのですが、セロトニンを脳に運ぶ役割をしているのがコレステロールなので、タンパク質とコレステロールの両方が豊富な肉が最適なのです。
■ 肉食はストレス緩和にもつながる 数あるタンパク質のなかでも、動物性タンパク質の宝庫である肉は男性ホルモンを活性化させ、人を行動的にする働きがあるため、50代以降は特に肉を積極的に食べることをお勧めします。 セロトニンは精神を安定させるため、肉食はストレスの緩和にも役立ちます。 また、年を重ねるごとに筋肉はどんどん落ちていき、いくら筋トレで鍛えても、一度落ちた筋肉は簡単にはもとに戻りません。タンパク質は筋肉や臓器、骨格などをつくる材料にもなりますから、特に50代以降は意識的に摂取したほうがいいのです。 その他にもタンパク質は免疫機能を維持する物質の材料にもなっており、不足すると免疫機能がどんどん衰えていきます。風邪をこじらせて肺炎で亡くなる高齢者が多いのは、タンパク質が不足しているために免疫機能が弱っている可能性があるからです。 健康な老後を送るためには、アミノ酸を多く含むタンパク質を摂取することが何より大事ですが、そのための理想的な食べ物が、肉なのです。 そういえば、100歳以上の高齢者を「百寿者」と呼びますが、百寿者には肉を好んで食べる人が多い傾向があります。 たとえば、105歳までご存命で100歳以降も医師として医療現場の最前線に立ち続けた日野原重明さんは肉が好きで、100歳以降も肉を食べ続けていたそうです。 冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんも大の肉好きです。90代の現在も、よくステーキを食べていると言います。 その他にも、99歳までご存命だった作家の瀬戸内寂聴さんも肉好きだったことが知られています。 私の知る長生きでパワフルな高齢者にも肉好きな人が多い傾向がありますが、若々しい体を維持するためにも、肉を食べてタンパク質の摂取を心がけることが大事です。 ■和田秀樹の「50代うつよけレッスン」 (1)「うつ病」は50代が危ない! 男性ホルモンの減少が記憶・判断力の低下、疲労感・不眠・イライラ・抑うつ感などを招く (2)50代になったら「肉」を食え! 注射や塗り薬などで男性ホルモン補充もいいが、食生活でも若さを取り戻すには←いまココ (3)肉だけじゃない! ホルモンを活性化させる食べ物とは? がんやうつを予防するにはコレステロール値は下げてはいけない
和田 秀樹