「セックスするならコンドーム」の連呼やめた「コンドームの達人」が駒場東邦の生徒に問う、「正解依存症」という病
■ 性教育は手段、目的は「人間づくり」 質疑応答の時間にはひっきりなしに手が挙がった。なかにはインパクトのあるカミングアウトもあったが、岩室さんはもちろん、まわりの生徒たちも冷静に受け止めているようだった。 講演後、「駒東の生徒たちは聞く力があるから、しゃべっていて楽しい」と岩室さん。 「結構明け透けな話ができるのは、男子校だからというわけではなくて、そういう人間関係づくりができているからだと思います。進学校と呼ばれるような学校は、そういうところが多い印象です」 男子校と共学校で、反応に違いはあるのか。 「あえていうと、共学校では隣に女の子がいると反応できなくなる男の子がいます。性教育においては男女で席を分けるべきだと思います。でも別々にはしないほうがいい。リアクションが違うことに気づくことも大切ですから。一方、性的な話をタブー視せず、仲間同士で盛り上がっていいんだという経験ができるのは、男子校の良さです。それぞれの良さを活かせばいいのであって、共学校と男子校とどちらがいいとは言えません」 ご自身の講演をこう振り返る。 「性についての『正解』を伝える性教育をしているひとは多いと思いますが、私にとって性教育は手段でしかありません。性という視点を通して、人間づくりをしなさいとか、お互いに悩みを話せる友達を大切にしなさいとか、そういうことを伝えたいと思っています」 ■著者 おおたとしまさ(教育ジャーナリスト) 「子どもが“パパ~!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育・夫婦のパートナーシップなどについて、執筆・講演を行う傍ら、新聞・雑誌へのコメント掲載、メディア出演にも対応している。著書は『ルポ塾歴社会』『ルポ名門校』『ルポ教育虐待』『ルポ父親たちの葛藤』『勇者たちの中学受験』など80冊以上。
おおたとしまさ