いじめの「グレーゾーン」をどう指導すべきか
どう指導するか?
ただ、本件では、 BのXについての発言によってAが嫌な気持ちになり、これが今回のAの発言につながっていることに鑑みれば、 Aの行為だけを「いじめ」というのも若干気が引けるのではないでしょうか。 法律上の「いじめ」があると認定された場合、いじめ防止対策推進法第23条第3項では「いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援」及び「いじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言」をすべきと書いてあります。しかし、いじめの定義が広いことで、「いじめ」という言葉を使わなくても指導することが有り得る等(「いじめの防止等のための基本的な方針」5ページ参照)、「いじめを行った児童等に対する指導」も非常に広くなりますので、行為の性質次第では、必ずしも「強く指導する」ことまでは必要がない点に注意しましょう。ただし、身心の苦痛を感じた児童生徒(B)にどう寄り沿うかは、行為者(A)の指導とは別に、 Bの立場に立って真摯に考える必要があります。 鬼澤秀昌 司法試験合格後、教育系NPO法人の常勤スタッフとして勤務。その後、大手法律事務所を経て、教育・NPO分野に注力するため2017年に「おにざわ法律事務所」を開業。第二東京弁護士会・子どもの権利委員会、日本弁護士連合会・子どもの権利委員会などに所属。2020年から文部科学省スクールロイヤー配置アドバイザーも務める。 *『月刊教員養成セミナー2024年9月号』 「現役スクールロイヤーが法規を基にお答え 教育現場のグレーゾーン対応術」より 法律のプロが、教員生活で判断に困るグレーな事例の対応を毎月ズバッと解説! 関連法規の筆記・面接試験の過去問もご紹介します。教師になってからの実践にも、教員採用試験にも役立つ一石二鳥な連載です。是非ご覧あれ!