1億個が時速2万5千キロで浮遊…宇宙ゴミ(スペースデブリ)の脅威と地球規模の対策とは?
衛星の破壊によってインターネット通信が遮断?
デブリによって衛星が破壊されると、どんな影響があるでしょうか? 「今や世界の経済は衛星によって支えられていると言っても過言ではありません。世界の大規模災害の予測や状況の把握にも衛星が使われています。通信や放送にも衛星が活用されています。それらの衛星がデブリによって次々と壊れることがあったらどうでしょうか。通信や気象、災害の監視など、さまざまな面で日常生活に関わっている宇宙技術が使用できなくなる可能性もあります。 最近では、静止軌道に設置されている衛星の太陽電池パネルの出力が突然落ちたという事例も報告されています。詳細はわかっていませんが、恐らくデブリが衝突することによる影響ではないかと考えられています」
デブリを増やさず減らすために 世界と日本の取り組みとは?
地球環境の課題がなかなか解決しないように、国によってさまざまな考え方があるので、国際的な共通ルールを作ることは長い間、難しいと考えられていたといいます。 「しかし、2007年には、国際機関間スペースデブリ調整委員会(IADC)の提案に基づき、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)スペースデブリ低減のガイドラインが作成されました。運用中に放出されるデブリの制限や意図的破壊活動の回避、ミッション終了後に低軌道域に長期的に留まることの制限など、SDGsの目標のひとつである『つくる責任、つかう責任』が宇宙にも適用され、自主的に取り組むことが望ましい対策について制定されました。 また、2023年に広島で開催されたG7では、宇宙空間の安全で持続可能な利用を促進することについて首脳レベルでのコミットメントが表明されました。 スペースデブリの問題が世界共通の重要課題であると取り上げられることが増え、課題への意識が高まり、宇宙環境を改善する国際ルールが徐々に整いつつあります」 デブリを増やさない活動とは、具体的にどんなものなのでしょうか? 「デブリ対策には、これ以上数を増やさない取り組みと、現在あるデブリを減らす取り組みの2つの取り組みがあります」