空前の人手不足感で賃金上昇圧力に期待 デフレ脱却なるか 短観3月調査
人手不足
人手不足感を測るうえで有効な雇用人員判断(全規模・全産業)は「最近」が▲25、「先行き」が▲26とバブル期に匹敵する領域に突入しました(マイナスは不足超、すなわち人手不足状態)。特に中小・非製造業において人手不足が深刻で、DIは「最近」が▲34、「先行き」が▲37と圧倒的でした。このことは近年の中小企業における賃金上昇率加速に強く関係している可能性が高く、賃金の決定要素が「業績」から「人手不足感」に移っていることを示唆しています。このように近年の日本経済が構造的な人手不足に直面していることからすれば、先行きも賃金上昇圧力が途絶える姿は描きにくいです。今回の結果は、賃金上昇圧力を意識させるという意味においてデフレ脱却を裏付けるデータと言えます。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。