ウクライナ、クリミア攻撃の背景にある歴史の重みと戦略的意義
新たな国防相にはクリミア・タタール人のルステム・ウメロフ(右)が就任した[国防省・軍幹部に挨拶するウメロフ=ウクライナ・キーウ](ウクライナ国防省HPより)
ロシアに対するウクライナの反転攻勢が続く中、 侵略 の「原点の地」が再び注目されるようになっている。それは、ウクライナ南部クリミア半島だ。2014年3月に ロシアが一方的に自国領へ併合 した行為は、実態としては武力を用いた侵略だった。このとき国際社会は微温的な態度にとどまり、8年後の全面侵攻につながった。 ロシア軍の要塞と化したクリミアに対し、その奪還を目指すウクライナは今年6月から攻撃を次々と繰り出している。また、同9月上旬には半島の先住民族であるクリミア・タタール人がウクライナ国防相の要職に就いた。 そもそもクリミア半島とはどのような土地か。黒海に突き出たひし形をしており、その面積は日本の四国の1.4倍ほどだ。地理的条件からさまざまな民族が住み着き、古代にはギリシャの植民都市もあった。中世に入ると、モンゴル帝国の流れをくむイスラム王朝、クリミア・ハン国が成立。やがて、同じチュルク系の強国 オスマン帝国 の保護下に入った。
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真野森作