山田雅人マイク1本で「かたりの世界」名場面を再現 きっかけは高田文夫さんの言葉
高田さんの言葉「山田、おまえはこれで食っていける」に感激
山田は舞台で、静かにかたりはじめた。こうした舞台で心がけることは「絶対に山田雅人を表に出さない」こと。主役はあくまでも、かたりの主人公、そしてその人をリスペクトすることだという。山田は用意してもらった舞台で、取材などから得た話を事細かにかたり、観客を魅了した。 舞台を終え、出来栄えはどうだったか楽屋でソワソワしていると、舞台を見に来ていた高田さんが寄ってきて「山田、おまえはこれで食っていける」と声をかけてくれた。 そして「これからいろんな人がアドバイスしてくるだろうけど、なにも変えずそのままでいけ」とアドバイスをもらった。誰よりも尊敬する高田さんからの言葉は、山田の新たな境地への大きな第一歩となった。
2018年は全国80か所で「かたりの世界」
それから10年。山田のかたりの世界は人気を呼び、2018年は全国80か所で行われるほどに。その後も高橋尚子さんや松井秀喜さんらを題材にしては取材活動を重ね、その取材協力者の数は約3千人を超えた。 山田はかたりを行うことで、必ず守っていることがある。それは「人の人生を語る以上は、書籍とかそういうものでつくっちゃいけない」ということだ。 「かたりを行う以上は、ちゃんと関係者を取材をし、本人に許可をとっています。またご本人が亡くなられている場合は、ご遺族に許可をとっています。そうでないと人の人生を語ってはいけないんです」
10月には地元・大阪で松下幸之助をかたる
10月23日には、大阪市福島区のホテル阪神で、パナソニックの創業者である松下幸之助さんのかたりに挑戦する。これまではスポーツの舞台が多かったが、今回はまた新たなジャンルへの挑戦。大阪では、おはよう朝日です時代からの親友、朝日放送の三代澤康司アナウンサーも応援に駆けつけ心強い。 「松下さんはすごい方ですが、長い人生を紐解くと、上り坂ばかりじゃなく、山あり谷ありの人生でした。その谷に落ちた時、幸之助さんがどう踏ん張ったかに焦点を当ててみました。孫の正幸さんにもお話を聞くなど、しっかり取材も重ねました。幸之助さんを知らない世代の方々にもぜひ聞いてほしいです」