「就活に失敗しても人生は終わらない」と言えるこれだけの理由
受験や就活でつまづいたら、人生は上手くいかなくなる、とは本当なのでしょうか? お茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古さんは、苦難の経験が人生を充実させると語ります。常識にとらわれない「柔軟な生き方」について紹介します。 他人の幸せが羨ましい...「劣等感で苦しい人生」を抜け出すための言葉 ※本稿は、外山滋比古著「やわらかく、考える。」(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
人生は長い目で見る
スタートがうまく切れなかったことで悲観することはない。人生はマラソンみたいなもの。いくらスタートがよくても、本当の力がなければ、たちまち遅れる。折り返し地点あたりへ来ると、ようやく実力がものを言うようになる。スタートでレースを占うのは誤っている。 『傷のあるリンゴ』
失敗こそ幸運の女神
試験に落ちて進路変更を余儀なくされたような人が、悪戦苦闘、傷だらけになって走る人生マラソンのゴールはおどろくほど見事である。 失敗は幸運の女神の化身であると考える人がすくないのは不思議である。傷のあった方がうまいのはリンゴにかぎらない。 われわれは不幸、失敗の足りないことをこそおそれるべきである。傷ついてうまくなったリンゴの教訓は貴重である。 『傷のあるリンゴ』
ゆっくり急ぐ
仕事、仕事といって、ぶっつづけに仕事ばかりをするのではない。そうかといって、だらだら、遊んでいるのは、もっといけない。 両者をうまくかみ合わせる。リズムが生じる。それがいい生き方になる。"ゆっくり"を弱、"急ぐ"を強とすると、ゆっくり急げば弱強のリズムになる。 『老いの整理学』
苦しい経験が判断力を育む
判断力は、苦難や危険などのマイナスの経験を積むことで鍛えられます。生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされれば、誰でも必死で次にはどうすべきかを考えるでしょう。逆に、安心・安全な環境で生活をしていれば、判断に頭を使いません。 『考えるとはどういうことか』
風のように本を読む
読書百遍などと、同じ本を何度も読み返すのは、すすめるが、あまり得策ではない。人生は短い。さほどでない本を何回も読む時間がない。 "風のように読めば、たくさんの本を見ることができる"。そのどこかに、自分のもっている波長とあうものがひそんでいるかもしれない。風のように、さらりと読んでいても、自分の波長にあったメッセージに出会えば、"共鳴"という発見がある。そういう読書によって、人間は変身、進化する。 『老いの整理学』