<わたしたちと音楽 Vol. 46>和田彩花 アイドルとフェミニズムの間で考えていたこと
自分の心を救済する居場所はネットや芸術の中にも見つけられる
――周りに味方の存在を感じられると心強いですね。世の中には自分と近い考えの人を見つけられずに悩んでいる人もいるかもしれないと思うのですが、そういう場合はどうしたら良いでしょう。 和田:リアルで繋がりがあれば一番良いですけれど、今はリアルだけじゃないですからね。私もアイドル時代に“フェミニズム”って言葉を出してメンバーと話していたわけじゃなくて、寂しい思いをしたときもあったのですが、そういうときにはSNSを通して同じような気持ちを抱えている人の投稿を見て救われていました。だから、リアルだけじゃなくても、自分の別の居場所をうまく見つけてほしいなと思います。あとは本や芸術も、自分の心の居場所になるし、守られる感覚を得られるはずですよ。意見が違う人と出会っても流されずに「私はそうは思わないけどね」と気持ちを口に出してみると、軽い一言でも自分の心が守られたりします。あと私の場合は、歌詞として言葉にすることで自分の心に溜まった感情を解消しています。 ――自分の心を守るためにできることは色々ありそうですね。構造として、エンタテインメント業界に横たわっているジェンダーギャップはどうしたら解消できると思いますか。 和田:表に立つ人間も、スタッフの方もファンの方も、性別も関係なくこの会話の輪に入ってきて欲しいですね。女性だけでなく男性も含めて、みんなが考えていることが可視化されれば、変化が起きるのではないかと思っています。
プロフィール
和田彩花 1994年8月1日生まれ、群馬県出身。アイドル:2019年にハロー!プロジェクト、アンジュルムを卒業。アイドルグループでの活動経験を通して、フェミニズム、ジェンダーの視点からアイドルについて、アイドルの労働問題について発信する。音楽:オルタナポップバンド「和田彩花とオムニバス」、ダブ・アンビエンスのアブストラクトバンド「L O L O E T」にて作詞、歌、朗読等を担当する。美術:実践女子大学大学院博士前期課程美術史学修了、美術館や展覧会について執筆、メディア出演する。
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