鳥谷に続く激震!阪神掛布SEA今季限り退団真相
阪神の掛布雅之オーナー付きシニア・エグゼクティブ・アドバイザー(64、以下SEA)が今季限りで退団することが2日、明らかになった。2017年9月に2軍監督を“解任”になってから1年契約で現職に就いていたが、昨年10月の契約更新時に「来年1年で契約は終わらせていただきます」と予告されていたもの。“引退勧告”により退団が確実になった鳥谷敬(38)に続き“ミスタータイガース”と呼ばれたレジェンドも球団を去ることになった。ネット上では阪神に対して批判、失望の声が多く寄せられているが、掛布退団の真相は何だったのか。
「1年前に今季限り退任を通告」
1年前の10月。矢野新監督の就任発表が終わった頃だった。 掛布氏は甲子園に隣接している球団事務所に呼ばれた。 掛布氏だけでなく契約のフロントマンは11月1日から翌年10月末日の1年契約を結んでおり、毎年、この時期に契約更改を行うことになっている。部屋には、揚塩球団社長と、契約に関する担当者の2人がいた。 揚塩社長は開口一番、こう言い放った。 「来年1年で契約は終わらせていただきます」 掛布氏はこの職へしがみつくつもりなど毛頭なかった。 「わかりました。これまでありがとうございました」 承諾し、感謝の意を伝えた。 故・中村勝広GMの尽力のおかげで2013年オフにゼネラルマネジャー付育成・打撃コーディネーターとして阪神に復帰。2016年からは、金本監督の要請で2シーズン2軍監督としてユニホームを着た。そして、その後もフロントの職を用意してもらった。掛布氏には感謝の気持ちしかなかった。 だが、このやり方には疑問を抱いた。失礼だと感じた。 今年1年で、あなたは終わりと、言われた人間が、どれだけ、その仕事に懸命になれるのだろうか。掛布という人間は、たとえ、そうであっても与えられた場所でベストは尽くす。 契約上、更新しない場合は2か月前に通知することになっている。ならば、翌年の契約更新の2か月前に通知すればいいだけの話ではなかったのか。 温厚な掛布氏の口調が少し強くなった。揚塩社長は、平謝りするだけで、わざわざ1年前に通告した理由も、そして、そもそも、なぜ契約を更新しないのかの理由も説明しなかった。藤原オーナーの“メッセンジャー”に過ぎない揚塩社長の立場では、それができなかったのだろう。鳥谷が揚塩球団社長から“引退勧告”を告げられたときも、開口一番、「今年で辞めてくれませんか」だったという。野球選手という人種の繊細さをこの人は理解していない。 掛布氏がSEAに就任したのは2年前だ。金本前監督が育成方針に関してズレのある掛布2軍監督の退任をフロントに求め、球団が了承、ユニホームを脱ぐことになった。当時の球団社長だった四藤氏は、“解任”理由を「指導者の世代交代」としたが、その通告時に同時に「フロントに職を用意したので、これからも力を貸して欲しい」と打診した。何も掛布氏が要望したわけではない。 坂井オーナーの“ブレーン”としての仕事だが、フロントに入りワンクッションを置くことでファンから絶大なる人気のあった掛布氏を斬ったことに対する虎党の反発、世論、阪神OBからの逆風を和らげる目的があったと見られる。また阪神の内側に置くことで、その言動を封じこめておきたかったとも取れる。球団の許可さえあれば、解説や講演などの活動も自由にできるという特別待遇。故・星野仙一氏が、監督退任後、オーナー付きシニアディレクターに就任した際にも同じく自由な活動が許可されており、その前例にならったものだ。