「世界一無力なCEO」目指すリクルート出木場氏、社員に熟考を奨励
(ブルームバーグ): 求人検索サイトのインディードなどを傘下に抱えるリクルートホールディングスの出木場久征社長兼最高経営責任者(CEO)は、自身の立場にあまり重きを置いていないようだ。
「世界一無力なCEOになりたい」と出木場氏はブルームバーグテレビジョンの「Latitude」のインタビューで語り、「私が考えているのは『どうすれば皆を手助けできるか』『どうすれば良いビジョンを与えられるか』だ」と説明した。
こうした言葉は珍しいものではないが、 出木場氏の場合はまさにその通りかもしれない。同氏はほとんどの時間を日本国外で過ごし、インディード創業の地であるテキサス州オースティンに住んでいる。2012年に10億ドル(現在のレートで約1510億円)でインディードを買収するよう上司を説得した後、10年以上前にそこに移住し、3年前にリクルートHDのCEOに昇格した後もそこにとどまっている。
リクルートとインディードは、毎月100万件以上の求人案件を満たす膨大な採用データにアクセスできるため、世界の労働動向をかなり正確に把握している。出木場氏によれば、求職プロセスにはまだ多くの摩擦があり、成長の機会は十分あるという。
「最大のトレンドは、全ての先進国で労働力の供給が減っていることだ」と出木場氏は指摘。目標は、人々が仕事を見つけやすくし、雇用主が求人募集を埋められるようにすることだと同氏は言う。リモートワークの求人は減少しているが、フレキシブルな職務に対する需要は依然として強いと付け加えた。
リクルートが日本で最も理解されていない企業の一つであることはほぼ間違いない。インディードや、求人情報と企業に関する口コミ情報を提供するグラスドアに加え、世界中で求人広告や人材派遣サービスを展開している。さまざまなポータルサイトを通じ、消費者と大小の企業を結びつけている。リンクトインやジロー、イェルプ、イーハーモニー、ブッキング・ドットコム、スクエアやその他数十のアプリが一つの屋根の下にあるようなものだ。時価総額は約11兆3000億円と任天堂やホンダを上回る。