【大分】「新湯治ウェルネスツーリズム」とは?
大分朝日放送
大分県別府市では、いま新しい観光事業「新湯治・ウェルネスツーリズム」の計画が進められています。 地元の学生が独自の観光ツアーを開き別府温泉の魅力と課題を考えました。 このツアーは、別府市の観光協会が若い人たちにも「新湯治・ウェルネスツーリズム」を広めようと別府大学と協力して初めて企画しました。 24日は別府大学の学生が温泉と健康をテーマに独自の観光プランを考案。 県外の学生を案内し、別府温泉の魅力や課題を一緒に考えました。 松山大学の学生 「違いますね黄色い」 「(味も)全然違う」 別府大学の学生 「温泉の成分が違ってたまごの色が変わるって授業で聞いた気がする」 同じ温泉観光地として知られる愛媛県松山市の学生も温泉たまごの色の違いの理由を今回のツアーで学ぶことができました。 別府大学の学生が考えた4つのプラン。 人気観光地・地獄めぐりや、300年の歴史があるみょうばん湯の里など「温泉」にまつわるものから、別府公園やグローバルタワーなど自然や景色を楽しんで「リラックス」できるものまで「温泉と健康」がイメージされています。 学生たちが実際に巡って感じた別府温泉の魅力とは。 桃山学院大学の学生 「温かいお湯じゃないとワニは生息できないって書いてあったのでだからこそできるワニの飼育は面白かった」 松山大学の学生 「松山は道後温泉があるんですけど別府は結構湯気が多い街の色んな所に湯気があって面白いと思いました」 別府大学の学生 「温泉は浸かるイメージが多いけど25日みんなで行った海地獄とかただ入るだけじゃなくて色んな五感で楽しめる温泉もあるのでそこは魅力だと思う」 また、ツアー終了後の意見交換会では、バスの遅れなどの交通の利便性、子ども向けの施設が少ないなどの課題も上がりました。 別府市市長公室 新湯治ウェルネスツーリズム推進室 松川幸路室長 「私どもが始めようとしていたことをすでに4世紀前から初めていた」 一方24日は、「別府ONSENアカデミア」も開かれました。 別府市の関係者が、温泉の歴史が長いフランスで調査した「湯治の方法」について紹介しました。 別府市市長公室 新湯治ウェルネスツーリズム推進室 松川幸路室長 「(健康のために)温泉に浸かるとか温泉の中で運動するとかそういうこともあるがもうひとつ主なものは飲泉です、いわゆる温泉を飲む。ちゃんと保険適用される仕組みがある」 市は2年前から「温泉」と」健康」を掛け合わせた新たな観光事業「新湯治ウェルネスツーリズム」を進めています。 健康に良いとされる「飲む温泉」とは?市内にできる新施設や温泉の可能性についても紹介します。 別府市で進められているのが「新湯治・ウェルネスツーリズム」です。 市は、別府ICの近く扇山のふもとに市民や観光客がサウナを体験したり温泉の効能について研究したりできる新たな施設を建設する予定です。 こちらはイメージでまだどのような施設になるのかデザインは決まっていませんが市は、「自然と一体化した施設にしたい」と話しています。 では、今後どんなことが行われているのか見ていきます。 市は2024年5月温泉の治療=湯治についての歴史が深いフランス・ヴィシーに調査に行きました。 2021年に温泉療養地のひとつとしてユネスコ世界文化遺産に登録された街で温泉や散歩などの余暇が当たり前のように治療として認識されているそうです。 そんなフランス・ヴィシーと日本とでは「湯治」の認識も違います。 日本では、古くから温泉に入って健康維持やリラックスをするのが目的です。 一方、フランスでは温泉に入るだけでなく…温泉を飲んで傷や疾病の治療をします。 さらに、保健適用されるなど手段、目的、対応が異なります。 ちなみに、ヴィシーには5種類の温泉が飲める温泉水ホールがあります。 ただ、5種類全てを自由に飲めるわけではなく、このようにかかりつけ医からもらった診断書を温泉の専門医に見せ、どの温泉があっているのか判断してもらうそうです。 例えば「Aの温泉が合います」「10日間の療養をしましょう」といった療養プランを温泉の専門医が考えてくれます。 このようにヴィシーでは温泉をしっかり治療として活用しているんです。 こういった温泉の様々な効能を観光資源につなげようと別府市が企業と連携して調査を進めています。 すでにその結果がいくつか出ていて市と別府市旅館ホテル組合そして九州大学が進める温泉と腸内細菌に関するデータではこんな健康効果が報告されています。 50歳未満の男性が単純温泉に入ると痛風の疾病リスクが減ったり50歳未満の女性が炭酸水素塩泉に入ると大腸がんの疾病リスクが減ったりなど調査結果が出てきているそうです。 これまではなんとなく温泉は健康にいいというイメージや印象でしたがしっかりとしたデータが出されているんですね。 いま市が重要視しているのが「温泉×○○の見える化」です。 市のウェルネス推進室担当者は「これまでしてこなった温泉の効能を改めて見える化しデータを発表することで温泉離れした若者へのアプローチや施設に長期滞在してもらい経済の活性化につなげたい」考えです。 新湯治・ウェルネスツーリズムについてはまだ決まっていないことも多くあります。 市は、12月の市議会から1年ほどかけて計画案を作っていく方針です。