表紙にタレントの顔のアップ リニューアルした「an・an」が狙うもの
1970年の創刊から40年以上を経て、今もなお女性誌の代名詞ともいえるポジションにある「an・an」。9月には「もう“女子”は卒業です!」というコピーで「大人の女性になるために、今すべきこと」を特集し話題になりましたが、さらに10月末からは大きくリニューアルを行っています。その時代の女性像を映し出してきたとも言える「an・an」は、今回のリニューアルでどう変わったのでしょうか。能勢邦子編集長と、アートディレクターを務めるタキ加奈子さん(soda-design)にお話を聞きました。
インパクトある表紙
―リニューアルにあたってのコンセプトを教えてください。 能勢編集長:コンセプトは「好奇心のネタ帳」です。読者が最近気になっていることが特集されていたり、これをやってみたいと好奇心を喚起させられたりする雑誌にしたいと考えました。 ―リニューアルで最もインパクトがあるのはなんといっても表紙です。リニューアル1号は水原希子さん、2号では菅野美穂さん、3号は長瀬智也さんの顔のアップ。そこにキャッチコピーというシンプルさです。次の表紙は誰の顔だろう?と気になります。 能勢編集長:リニューアルしたことを分かりやすく伝えるために強いインパクトのある、パワーを持った表紙にしたいと思いました。毎回パワーを注入するという意味で「○○ Power」というキャッチコピーをつけていて、リニューアル最初の号は「Tokimeki Power」です。キュンとしたトキメキを伝えられる人はこの人しかいないと水原さんに登場していただきました。
「どれが好きか」を決めるのは読者
―リニューアル後、読み物ページがさらに増えた印象があります。一般の女性が多く誌面に登場して自身の恋愛観を語っていたり、連載を行うコラムニストが20人以上いたりと、いろいろな「声」が詰まっている感じがします。 能勢編集長:全体のページ数はそのままですが、密度を濃くすることは意識しました。ひとつのテーマをいろいろな角度から掘り下げたいと思っています。コラムニストを含めてたくさんの声を載せているのは、「『正しいのはこれ』と言い切れない時代」だと感じているからです。好奇心の強い女性たちに、ひとつの意見を啓蒙する気は全くありません。たくさんの意見を誌面に載せ、答えは読者の方に出してもらいたいと思っています。 たとえばリニューアル3号目では堀江貴文さんと西村博之さんの対談があり、「デキる男は結婚しない」「デキる男にとって結婚にメリットはない」という内容が語られています。でもその次のページには結婚したばかりのロンブー田村淳さんにインタビューし、なぜ結婚を決めたのかを語ってもらっています。どちらの意見に共感するかや、どちらのタイプの男性が好きかということは読む人が決めること。いろいろな意見や見方を提示したいと思っています。