トランプ次期米大統領が軍事力行使も明確に排除せずグリーンランドなどの領土獲得に向けた野心を露わに
米国自らが「力による一方的な現状変更」に動くか
このようにトランプ氏は、軍事力行使の選択肢も排除せずに、グリーンランドの購入とパナマ運河の返還を目指す考えを明らかにしている。また、軍事力の行使は否定しつつも、カナダの獲得にも意欲を示している。 今まで日本を含めて先進諸国は、ロシア、中国に対して、「力による一方的な現状変更を許さない」とのメッセージを揃って送り、国外での軍事的行動や「経済的威圧」を強く牽制してきた。 しかし、次期トランプ政権で米国自らが、軍事力行使や経済的威圧を通じて領土を獲得する野心を露わにするのであれば、米国と足並みを揃えて権威主義的な国々に対峙していくという従来の安全保障上の戦略は、大きな見直しが必至となるだろう。 (参考資料) 「トランプ次期米大統領、グリーンランドとパナマ運河の支配めぐり脅し強める 「カナダ合併」にも言及」、2025年1月8日、BBC NEWS JAPAN 「アングル:トランプ次期米大統領、グリーンランドの購入は可能か」、2025年1月8日、ロイター通信ニュース 「トランプ氏長男グリーンランドへ―「住民大切」と訴え、首相は反発」、2025年1月8日、共同通信ニュース 「トランプ氏、グリーンランド購入へ圧力 拒否なら高関税」、2025年1月8日、日本経済新聞電子版 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi)に掲載されたものです。
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