【岡田彰布コラム】チーム状態がどん底でも貯金はある。この状況を今こそ冷静に見つめ、それに即応した戦略・戦術を打ち、必ず立て直すことができるよ
ホンマは交流戦、得意なんよ
ここまで打線の調子が上がらないという経験はないわ。苦しい戦いが続いているけど、必ず立ち直ると思っている。そこまで我慢よ
【岡田彰布のそらそうよ】 交流戦が始まっても苦戦が続いている。開幕から打線が低調でなかなか点差を引き離しての勝利がない。それでも投手陣が踏ん張っていたが、まさかの4連敗を喫した。そんな中、指揮官は適材適所の采配をし、立て直しを図っている。 写真=BBM 1カ月ぶり以上のご無沙汰です。月に1度の「そらそうよ」。阪神タイガース監督の岡田彰布です。 現在、プロ野球は交流戦の真っただ中(これを読まれるころは終盤戦よな?)。交流戦が始まったのは2005年から。前回の阪神監督で4年、オリックス監督で3年。そして昨年と合計8年、経験している。苦手ではない。逆に得意にしてきた。通算100勝に一番乗りはオレで(プチ自慢ですが)、10年にはオリックスで交流戦優勝している。 これまで36試合制もあったが、現在は18試合制が定着。143分の18ということだが、長いペナントレースの中、非常に重い18試合であることに変わりない。 この期間、リーグの中での星のつぶし合いがない。極端な話、ひとり勝ちがあれば、ひとり負けもある。これがレギュラーシーズンに反映する。順位がガラリと変わることがあり、楽しいイベント気分などにはなれない。 交流戦がスタートして20年。各チーム、どのように準備すればいいか、のノウハウはできている。交流戦用にスコアラーを派遣。データを収集し、それをミーティングで上げる。10年のオリックス優勝時もそうやった。セ・リーグへスコアラーを出し、綿密に分析した。そのとき、「中日のバッティングは要注意」とかのデータがあったが、ビデオを見てオレは「えっ?」と思わず声を上げた。 それほどの打力ではなかった。そんな印象が強く、実際に戦えば、データとは違う結果になった。そこで得たヒント。「データは生かすべき。だが、それ以上に大事なのは感覚、感性」ということだった。 データはあくまで参考資料であり、オレは実際に対戦し、打席での感覚、マウンドでの感性が最も大切である、ということを知った。「肌感覚」というのかな。バッターなら、打席の中で感じる印象……。それを感じて対処、対応していくことが、何よりの戦術になる。交流戦だからといって特別に構えない。いつも言うように普通に……が重要。これが交流戦を経験して得たものやった。 さて2024年シーズンの交流戦。最初の相手が日本ハムだった。甲子園、日本ハムと言えば新庄(新庄剛志)監督なんやけど、オレが阪神の現役時代のときに入団してきた後輩。新庄(呼び捨てにして申し訳ないが)は、当時から身体能力がずば抜けていた。オレは1993年を最後に阪神をやめたが、そのころの新庄は人気絶頂やった。オレは若い選手を食事に連れていくことが多かったけど、新庄だけは別やった。 球団から新庄を連れ出すのは控えてくれ、といった通達があった。女性ファンが多過ぎての処置だったが、それほどの人気ぶりやった。だから・・・
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週刊ベースボール