住鉱エナジーマテリアルが設立10周年式典、松本住友鉱山社長「事業成長で震災復興などに貢献」
住友金属鉱山の子会社で、リチウムイオン電池(LIB)の正極材となるニッケル酸リチウムを生産する住鉱エナジーマテリアル(本社・福島県双葉郡、社長・安達良典氏)が設立10周年を迎えた。21日には記念式典を開催し、関係者140人が参集した。次の節目に向け安全祈念の神事を行った。 記念式典では、住友金属鉱山の松本伸弘社長が挨拶に登壇。「新工場建設の候補地を検討する中、ここ福島県双葉郡楢葉町が候補に挙がった。当時、楢葉町は東日本大震災による爪痕が残っていたが、事業を通じて福島復興のお手伝いをしたいという想いから決定した」と振り返った上で「現在では当社の電池材料事業において、なくてはならない重要な拠点となるまでに成長した。今後も事業を成長させることで地域の復興・発展に貢献することを目指していきたい」と力を込めた。 続けて、安達社長が登壇し「本日神事を通じ、今後も長きにわたり無事故無災害で過ごせるよう祈願させていただいた。安全は基本であり、なによりも大切なもの。これからも安全第一を心掛け、さらなる発展を目指していきたい」とした。 安全祈念神事では、松本社長、安達社長に加え、楢葉町の松本幸英町長、経済産業省の辻本圭助大臣官房福島復興推進グループ長、復興庁の長尾勝昭福島復興局次長、同社の主要供給先であるパナソニックエナジーの只信一生社長らが玉串を奉納した。 式典後、松本社長は取材に応じ、今後の住鉱エナジーマテリアルの展望について「目標とする月産1千トンを達成できた。今後は稼働率など生産性向上や歩留まり改善によってコスト削減を図っていきたい」と競争力向上に向けた取り組みを進める考えを示した。 住鉱エナジーマテリアルは2014年に設立。住友金属鉱山グループとしてニッケル原料から電池材料まで一貫体制で供給できることが強み。住友金属鉱山は愛媛県の磯浦工場でニッケル酸リチウムを生産していたが、LIB市場拡大に伴う需要増に対応するとともに供給リスクの分散を図るために新たな拠点として設けられた。