拒否反応で首が震えた――「元天才子役」美山加恋、芝居への“怖さ”乗り越えた今
17年前、草なぎ剛主演のドラマで娘役を演じた美山加恋。無垢な笑顔、自然な涙。圧倒的な演技力で、視聴者の心をわしづかみにした。その後芸能界を去る子役も多いなか、進路として俳優の道を自ら選び、地道にキャリアを積み重ねてきた彼女は、「プリキュア」や「アイカツ!」シリーズなどで声優としても活躍している。 なかなか外せなかった「元天才子役」の冠。「“大人の自分”も“子どもの自分”も求められた思春期」は苦しかったと語る。現在24歳、再ブレークの兆しを見せる実力派俳優・美山加恋の今を追った。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
自分が「天才子役」と呼ばれていたことを知らなかった
2004年に放映された、草なぎ剛主演のドラマ『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ系)。離婚した夫婦の間で揺れ動く娘の「凛」役を演じたのが、当時7歳の美山加恋だった。けなげな姿が記憶に残っている人も多いだろう。 劇団に入ったのは5歳。 人気ドラマでブレークすると、仕事に学校にと多忙な毎日が続いた。 「ほとんど毎日連続ドラマの撮影がありました。疲れる瞬間もありましたけど、とにかく楽しかったので、苦ではなかったですね。でも私、自分が“天才子役”って呼ばれていたなんて、当時は全然知らなかったんですよ。あのころ、テレビをほとんど見ていなかったので。次の日も撮影があるので、帰ったらすぐに寝なくちゃ、という感じだったんです。どちらかというと、“元天才子役の”と呼ばれるほうが印象に残っています。最近はそれもなくなってきましたけど」 演技は自然と身についた。求められれば、すぐに涙を流すこともできた。芝居自体も、スタッフの動きを眺めていることも、現場でのすべてが好きだった。 「毎日セリフを覚え、現場でそれを発表して、の繰り返し。幼い子が習い事で何かを習得することと同じ感覚でしたね。共演者やスタッフの皆さんも優しかったし、芝居は面白くて、だから頑張れたんだと思います」