ドライアイで悩む人必見! 新しい治療法「IPL治療」の効果や注意点を医師が解説!
ドライアイの治療法
編集部: ドライアイの治療法について教えてください。 宇井先生: まず、点眼薬による治療があり、ヒアルロン酸ナトリウム、ジクアホソルナトリウム、レバミピドなどが使用されます。 編集部: 薬物治療以外の治療法もありますか? 宇井先生: 脂が足りないマイボーム腺機能不全の治療の1つとして、「温罨法(おんあんぽう)」というまぶたを温める方法があります。マイボーム腺の脂を溶かし、まぶたの血流を改善します。まぶたの温度を38度前後に上昇させ、じっくりと5分以上保つことが重要です。 編集部: ほかには、どんな治療法がありますか? 宇井先生: まぶたを清潔に保つ「眼瞼清拭(リッドハイジーン)」という方法もあります。汚れたマイボーム腺の脂の排出を促し、固まってしまった古い脂や角化物を除去、さらにマイボーム腺周囲の細菌量を減らすためにおこないます。温罨法の後に、指の腹でまつ毛の根元周囲を優しくマッサージするとさらに効果が高まります。洗顔や歯磨きと同様、毎日やるのが有効です。
新しいドライアイ治療「IPL」
編集部: それでも改善しなかった場合、どんな方法がありますか? 宇井先生: 水が足りないタイプのドライアイに対しては、涙点にシリコン製の小さな栓をはめ込む「涙点プラグ挿入術」という方法があります。水が足りないタイプの場合、涙腺から分泌される涙の量が少ないのに、涙の排出口である涙点からはしっかり排出されてしまうことでドライアイが起こるので、涙点を栓(涙点プラグ)で塞いで、少ない涙を目の表面に溜めるようにするのです。なお、涙点プラグは永久的に使えるわけではないため、定期的に処置を継続する必要があります。 編集部: 最近は光を用いた治療もあると聞きました。 宇井先生: 脂が足りないタイプのドライアイに対する「IPL治療」ですね。IPL(Intense Pulsed Light)は、レーザーのような単一波長ではなく、広い波長の光エネルギーを出す器械です。IPLを目の回りに当てることにより、マイボーム腺の働きを改善させることができるのです。熱によってマイボーム腺の脂を融解させるだけでなく、抗炎症作用や細菌・まつげダニの感染抑制、そしてマイボーム腺そのものの修復も期待できます。 編集部: 具体的に、どのような流れでIPLを当てるのでしょうか? 宇井先生: まずは洗顔をしていただき、当てる部分(目の周り)にジェルを塗り、眼球を保護するアイシールドを装着した後にIPLを当てます。個人差はありますが、IPLを当てている間は、弾かれるような痛みと温かさ、まぶしさを感じます。その後、洗顔をして帰宅という流れです。施術時間は10分ほどで、1回でも効果が感じられるケースもありますが、3~4週間ごとに、4回の治療がおすすめです。 編集部: IPL治療を受ける上での注意点はありますか? 宇井先生: 保険適用ではなく自費診療となるので費用がやや高額な点と、医療機関によって費用に差がある点には、注意が必要です。なお、治療そのものについての副作用やリスクなどは、現時点で報告されていません。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 宇井先生: 点眼薬によるドライアイ治療は、あくまでも症状を緩和するものであって根本治療ではありません。マイボーム腺機能不全など、脂が足りないタイプのドライアイに対する新しい治療法であるIPL治療は、マイボーム腺そのものの働きを改善させることが期待できます。副作用やリスクもないので、ドライアイに困っているのであれば、ぜひ一度試してみてください。ただし、IPL治療は比較的新しい機器を使用するということもあり、対応している医療機関は限られています。事前に電話やインターネットなどで確認してから受診することをおすすめします。