18日に再び「特捜検事」の尋問へ 真実を話すよう迫った検事ら 自ら立った法廷では「記憶にない」「差し控える」 初めて公開「取り調べ映像」の波紋 プレサンス山岸さん国賠訴訟
■「逮捕は待った方が…」進言した検事 聞き入れなかった主任検事
6月14日。11日に引き続き、別の検事の尋問が行われた。 午前中に法廷に立ったのは、山岸さんの取引先会社の社長Y氏(有罪判決が確定)を取り調べた検事。Y氏は一度、山岸さんの関与を認める供述をした後に、その供述を撤回した人物だ。これまでの取材で、この検事はY氏の供述撤回を受けて、捜査を主導していた大阪地検特捜部の蜂須賀三紀雄主任検事(当時)に「山岸さんの逮捕を待った方がいいのでは」と進言したことが明らかになっている。拘置所から電話し、Y氏が供述を撤回したことを話し、「逮捕を待った方がいいので」と伝えると、蜂須賀主任検事は、ほかの証拠もあるので令状が出たら山岸さんの逮捕を執行すると言った…そう話した。 重要な証拠に位置付けていたY氏の供述が撤回されたこと。そして「逮捕は待った方がいい」という検事の進言。それにも関わらず、山岸さんの逮捕は、その日に執行された。当時検察内部では何が起きていたのか。14日の午後の法廷で、捜査を主導していた大阪地検特捜部主任(当時)蜂須賀検事の尋問が行われた。山岸さん側の中村弁護士が質問した。 【中村和洋弁護士】「逮捕は待った方がいいのではという場面についてどのように記憶していますか?」 【蜂須賀検事】「本当に覚えていません」 【中村和洋弁護士】「非常に重大な局面だったと思うのですか?」 【蜂須賀検事】「撤回した、という報告は記憶にあるが、ここは本当に出てこない」 「逮捕は待った方がいいのでは」と進言された場面について記憶にない、と答えた蜂須賀検事。さらに… 【中村和洋弁護士】「供述撤回について訂正調書を作った方がいい、と進言を受けた場面についてはどうですか?」 【蜂須賀検事】「覚えていません」 【中村和洋弁護士】「ものすごく不自然ですよ」 【蜂須賀検事】「覚えていたら言いますよ、というのが私の思いです」 特捜部にとっては、巨額横領事件の捜査の過程で、東証一部上場企業社長・山岸さんを逮捕するのかどうかという極めて重要な場面だ。蜂須賀検事は“記憶に残っていない”という、不可解と言わざるを得ない返答に終始した。