自民党新総裁に石破氏が選出:地方創生を中核に据えた成長戦略の推進に期待:財政・金融政策の正常化も後押しか
金融市場は円高・株安に反応
9月27日に行われた自民党総裁選では、決選投票で石破氏が高市氏を破って新総裁に選出された。10月1日の臨時国会で首相に選出される予定だ。 この決定を受けて、金融市場では円高、株安、債券安が進んだ。特に先物市場での株価の下落は顕著だった。ただし、これを持って株式市場は石破政権をネガティブに評価しているとは言えないだろう。あくまでも短期的な反応に過ぎない。 金融市場が事前に、日本銀行の利上げに反対する一方、積極財政を掲げている高市氏の勝利を織り込んでいたことの反動という側面が強いだろう。株式市場としては、石破氏が金融所得課税の見直しに言及したことや、法人税、所得税の一部増税に言及していること、財政健全化を掲げていることから、それらが経済や株式市場に悪影響を与えないかどうかを懸念している面があることは確かだろう。しかし、全体的には安定した経済政策運営をしてくれるというプラスの期待感の方がその懸念に勝るのではないか。 石破氏が掲げる一部の増税策は、余裕のある企業、個人に負担を求めることで、財政や社会保障制度の持続性を高め、弱者をより支援することができるというリベラルな発想に根差しているように見受けられる。石破氏自身も「経済あっての財政」として、経済に配慮して財政の健全化を進める考えを示している。
日本銀行は金融政策の自由度を維持
石破氏は、個人消費に打撃を与える物価高の一因である円安を修正する観点からも、日本銀行の利上げを支持している。さらに、日本銀行の独立性を尊重する姿勢だ。これらは日本銀行にとっては歓迎すべきものだ。石破政権の下で、日本銀行は金融政策の自由度を維持し、自らの判断で正常化を進めていくことになるだろう。 政府の政策ではないが、日本銀行の金融政策の正常化による円安修正こそが、弱さが目立つ国内消費の回復を助ける、短期的には最も重要な経済政策となるのではないか。 この先、日本銀行の金融政策の正常化を制約する可能性があるのは、政治的な圧力ではなく、円高進行による物価見通しの上振れリスクの後退、あるいは下振れリスクの上昇、米国経済の下振れ、などだろう。