高校卒業後に女子競技者が激減するのはなぜか? 女子Fリーグ・新井敦子が語る「Keep Playing」に必要な社会の変化
「好きなことを続ける」ために必要な社会の変化
――新井選手は、他の競技に転向してみたいと思ったことや、やってみたい競技はありますか? 新井:子どものころはサッカーの他に、水泳、柔道、バレーボールをしていました。その中でサッカーとフットサルを選んできたので、今はあまり他の競技に転向したいという気持ちはありません。世界のどこに行っても、サッカーボールさえあれば誰とでも友達になれるというすばらしい経験ができたので、もし人生をやり直すとなっても絶対にサッカーはやりたいと思います(笑)。 ――女子アスリートが好きなことを続ける上で、ご自身の経験から感じる課題はどのようなことですか? 新井:私は本当に恵まれていて、職場や家族、所属クラブからの理解があって今のチームでプレーできていますが、少しでも環境が変わると続けることは難しいと思います。そういった意味では、女子フットサルはチームの選択肢が少ないことも課題の一つだと思います。東京都にはたくさんのチームがありますが、それ以外の都道府県では5チームあればいい方で、登録チームが少ないためにリーグが行えない地域もあると聞きます。あとは、結婚や妊娠を機に競技を引退する女性もとても多いと思います。様々なライフスタイルがある中で、自分のライフスタイルや競技者のレベルに合わせてチームを選べるぐらい選択肢が増えると、競技を続ける人も増えると思います。 そのためにも、まずはスポーツをする環境を身近に作ることではないでしょうか。学校帰りや仕事帰り、子どもが学校に行っている間など、誰でも気軽に行ける場所があれば、スポーツを続けられるのではないかな、と思います。 ――女性にとって競技継続のモチベーションになると思うことは、他にもありますか? 新井:費用が安いことや、閉鎖的でなく、初めて行く人でも輪の中に入れること、子どもを預けられることも大切だと思います。あとは会場までのアクセスや、天候に左右されないこと。インドアスポーツは冷暖房があることが多いのでうれしいです。また、「女性は家事や育児をするもの」という固定概念がなくなり、男性と同様に女性も自由に出かけられる文化がもっと根付くといいなと思います。 ――今後、女性アスリートの競技継続のために、新井選手が発信していきたいことがあれば教えてください。 新井:スポーツの価値を広く伝えることや、スポーツを楽しいと思ってもらうことです。今、学校の教員をしているので、授業を通してスポーツを楽しいと思ってもらえたらいいなと思います。また、私自身日本リーグでプレーしているので、フットサルの魅力をたくさんの人に知ってほしいですね。 <了>