コパ・アメリカ開催中になぜJリーグを中断しないのか?
もしコパ・アメリカのために中断するならば、開幕から決勝戦が行われる日本時間7月8日までの間に行われる4節分とルヴァンカップのプレーオフを、コパ・アメリカの前後に分散させる必要がある。しかし、大会期間中にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝トーナメント1回戦が組まれていて、これはJFAやJリーグの一存だけで動かすことはできない。 J1リーグおよびルヴァンカップだけを動かす場合は、水曜日のナイトゲーム開催が候補となる。しかし、すでにACLやルヴァンカップ、天皇杯全日本サッカー選手権が水曜日に組まれているため、選択肢は大きく限られてくる。加えて、ワールドカップイヤーに代表される特別な年を除いて、選手たちに過度の負担を強いる週2度のリーグ戦開催を、Jリーグが極力避けてきた背景も無視できない。 9月からは3か月連続で、国際Aマッチデーが入ってくるためにJ1も中断する。日程的に余裕がないところへ、近年では地球全体で起こりつつある気候変動も考慮しなければいけない。昨シーズンまでのJリーグで、台風や大雨、強風、雷、積雪などで延期されたリーグ戦は全カテゴリーで42試合。そのうち約38%に当たる16試合が、昨シーズンに発生している。 たとえば台風25号が九州へ接近していた昨年10月6日には、サガン鳥栖がホームに湘南ベルマーレを迎える明治安田生命J1リーグ第29節の開催決定を試合当日に下している。来場するファンやサポーターの安全を最大限考慮しながら、ギリギリまで決断を遅らせたサガンの竹原稔代表取締役社長は理由をこう語っていた。 「順延していたら、その後が超過密日程になっていた。J1に残留するためにも避けたかったし、だからこそ雨風が止むだろう、という予報のもとで湘南戦はぎりぎりまで待ちました」 幸いにも予報通りに台風25号はコースをそれたため、ベルマーレ戦は曇り空のもとで行われた。スケジュールにはあらかじめ予備日が平日を中心に設けられているが、コパ・アメリカ出場に伴ってJ1リーグを中断および順延すれば、その時点で予備日までもが埋まってしまう。