コパ・アメリカ開催中になぜJリーグを中断しないのか?
FIFAクラブワールドカップが今年はカタールで12月に開催される関係で、J1最終節は12月の第1土曜日(7日)で動かせない。夏場以降の気候変動など不測の事態が生じた際に、スケジュールを破綻させることのないように対応するためにも、予備日は確保しておく必要があるわけだ。 Jリーグが発足した1993年当時は、目的として日本代表の強化が謳われた。四半世紀以上の時間が経過した今、JFAとJリーグは車の両輪として日本サッカー界をけん引していく役割を負う。ワールドカップイヤーではない今シーズンに長期中断を設けなかったのは、当然の判断と言っていい。 結果としてDF冨安健洋(シントトロイデンVV)、先のキリンチャレンジカップでデビューした18歳のMF久保建英(FC東京)をはじめとする東京五輪の主力候補を、森保ジャパンの主力であるMF柴崎岳(ヘタフェCF)とMF中島翔哉(アルドゥハイルSC)がけん引。GK川島永嗣(RCストラスブール)やFW岡崎慎司(レスター・シティ)のベテランが縁の下で支える編成になった。 もちろん、ポジティブな要素がないわけではない。フル代表との兼任監督になった昨年7月以来、森保監督が東京五輪世代を直接指揮したのは昨年8月のアジア競技大会の一度しかない。全幅の信頼を置く横内昭展ヘッドコーチが監督代行を務めてきたなかで、コパ・アメリカ期間中は腰をすえて長い時間を共有し、戦術や意識を浸透させていくことができる。実際、森保監督はこう語っている。 「東京五輪では金メダルを取りたい。そのためにはフル代表で出られるくらいの力を持った選手がいなければ、目標達成は難しい。若い選手がコパ・アメリカという素晴らしく、そして厳しい大会に出ることによって成長し、ワールドカップ予選や東京五輪での成果へつなげていければ」 何とか編成した若きフル代表を、喫緊の課題でもある世代交代をさらに加速させるためのチャンスに変える青写真を描きながら、森保ジャパンは日本時間の18日午前8時、開幕戦が行われるエスタジオ・ド・モルンビーで大会3連覇を目指すチリ代表とのグループC初戦に臨む。 (文責・藤江直人/スポーツライター)