「キモい」「きたない」子どもが人を傷付ける言葉を発したらどうする?「そんな言葉を使う子は好きじゃないよ」と言うべきではない理由【専門家解説】
会話を通して「よくない言葉」をイメージさせる
子どもに使ってほしくない言葉を伝える時も、一方的にならないように気を付けましょう。 特に「そんな言葉を使う子は好きじゃないよ」という言い方は避けるべきです。 これは、子どもが「そういうことを言わないよい子でなければ愛さないよ」と条件を付けられたように感じてしまう可能性が高いからです。 子どもはいつでも無条件に愛されたいし、家族は何があっても自分のことが好きだと感じたいのです。 子どもは言葉に敏感なので「好きじゃない」という言葉には要注意です。 それよりも、嫌な言葉を言われた側の気持ちを想像できるようにしてあげるといいでしょう。 たとえば、「お母さんだったら、その言葉を言われたら悲しくなるな」とか「妹が誰かにそういうことを言われたら、あなたはどう感じる?」などと問いかけてみましょう。 こうした問いかけは、自分が言われたと仮定するより客観的にイメージしやすくなります。またはテレビなどでネガティブな言葉による笑いが起きている時に、「みんな笑っているけど、嫌な気持ちになることもあるよね」などと伝えてもいいでしょう。 「お母さんだったらその言葉は言われたくないな」というメッセージや「家族がそう言われていたらどう感じる?」という問いかけは、自分が言ったり言われたりするよりも客観的にイメージして言葉の意味を考えられます。 テレビなどで、ネガティブな言葉で笑いが起きている時に「テレビではみんな笑っているけど、嫌な気持ちになることもあるよね」などと伝えてもいいでしょう。
家族の愛情がネガティブな言葉から子どもを救う
親子関係が安定していることは、子ども自身を守るためにも重要です。 心ない言葉に傷付いた時、家族を信頼できなければ、それを一人で抱え込んでしまうでしょう。 でも、信頼関係があり、早い段階で嫌だったことを伝えて気持ちを受け止めてもらえれば、それだけでも少しは子どもの気持ちが救われます。 嫌な経験は言いたがらない子もいるので、会話の受け答えや表情から「いつもと違うな?」と感じた時は、注意深く様子を見て、ゆったりした時間をつくり、なんでも話してねというメッセージを伝えましょう。 無理に問いただすと逆効果になることもありますので、子どもが安心して話しやすい雰囲気をつくっておくことが大切です。 そして、子どもが話し始めたら途中で意見をはさんだりせず、共感たっぷりに受け止めながら本人が満足するまで話を聞きましょう。 そうすれば親もより詳しく状況を知ることができ、的確な対応を取りやすくなります。 いじめに発展してしまうのを防ぐため、場合によっては先生に相談するなどの対応もできるでしょう。 なにより、真剣に自分に寄り添って考えてくれる保護者のかたの姿を見て、子どもは家族が自分を受け止め、守ってくれるという安心感を得ることができるのです。