パリ五輪テスト大会で玉井陸斗ら日本代表5選手が躍動 本番に向けて時差や食事も確認/中川真依
今月8日から10日にかけて、パリ五輪テスト大会となるフランスオープンが開催された。 会場はパリ五輪と同じプール。日本からはパリ五輪に内定している5人の選手が出場した。 日本人選手のトップバッターとなったのは、男子10メートル高飛込の玉井陸斗(JSS宝塚)。 近年、世界でもメダル獲得の常連になっている玉井は、今年に入ってからも絶好調。今大会でもしっかりと実力を発揮し、トータル500・55点で見事に優勝を手にした。実は玉井にとって、これが国際大会で初めての金メダル。この模様は日本の国内ニュースでも取り上げられた。 試合後にマイクを向けられると、「メダルへの執着を忘れず、パリ五輪でもメダル獲得を目指して頑張りたい」と自信に満ち溢れた表情で話していた。 そして、その次に行われたのは女子3メートル板飛込。この種目には三上紗也可(日本体育大)と榎本遼香(栃木トヨタ)が出場し、三上は銅メダルを獲得、榎本も5位入賞と2人揃って大活躍となった。 さらに、女子10メートル高飛込では荒井祭里(JSS宝塚)が玉井に続く金メダルを獲得。不調な時期もあった荒井だったが、今大会ではしっかりと自分の強みを発揮した。パリに向けていいイメージを掴めたのではないだろうか。 そして最終種目に登場したのは坂井丞(ミキハウス)だった。坂井は日本代表選手の最年長であり、2度のオリンピックを経験しているベテラン選手。メダルに一歩届かず4位入賞で今大会を終えたが、レベルの高い男子の試合でメダル争いが出来ること自体がすごいこと。五輪3大会目となるパリに向けて、モチベーションアップに繋がっただろう。 多くの場合、大会のトリを飾るのは迫力満点の男子10メートル高飛込。しかし今大会では、珍しく個人種目の最初に行われた。開催国であるフランスがメインとなり試合スケジュールが組まれていたためだ。フランスは男子3メートル板飛込にとても力を注ぎ強化してきた。そのこともあり、パリ五輪で活躍しそうな選手が育っている。さらに、フランス国内での注目度も高まっているため、今大会では最終試合として会場を盛り上げた。 今大会はWorld Aquatics主催の大会では無かった事もあり、参加選手は少なかった。そのため、全ての試合が一発決勝で行われた。しかし、会場がパリ五輪と同じプールという事もあり、海外からはオリンピックでも戦うであろう選手たちが何人も出場していた。 何よりも、オリンピックという大舞台を前に、同じ会場で試合が出来たことはとても大きな収穫だ。たくさんの国際大会に出場し、様々な経験をしている選手たちではあるが、やはりオリンピックにかける思いは別物。 今大会で実際に会場の雰囲気や水の感触、そして時差や食事などの経験を入れておけたことは心理的にも安心材料となる。あまり特別と思いすぎるのは良くないが、パリ五輪本番でも今大会のような活躍が出来る事を願っている。(中川真依=北京、ロンドン五輪代表)