【有馬記念・2013年】「金色の暴君」オルフェーヴル、ファンに”まだまだやれる”と思わせた8馬身差大圧勝のラストラン
◇歴史に名を刻む 有終グランプリ 古くはオグリキャップ、最近ではリスグラシューにキタサンブラックとこのグランプリでは引退レースを歓喜の白星で飾ってきた歴史がある。 東日本大震災が日本を震撼(しんかん)させた2011年、オルフェーヴルは、クラシック三冠を達成して、引退レースの2013年の有馬記念前までにG1を5勝。凱旋門賞でも2年連続2着に入った。新馬戦後には、ゴール後に鞍上を振り払って放馬、12年の阪神大賞典では2周目3コーナーで外に向かって逸走するなど、かなりの暴れっぷり。いつしか、その強さと危うさから「金色の暴君」と、称されるほどに。そして、引退レースの有馬記念でファンを驚かせるパフォーマンスを披露した。 レース後に引退式が設定された当日は、最後の勇姿を見ようと、中山競馬場に約12万4000人の観客が詰めかけ、単勝も1.6倍と、圧倒的な支持を集めた。最初は後方で脚を温存。勝負に出たのは、2周目の3コーナー付近。これまで何度もライバルをねじ伏せてきたまくり勝負。外々をゆっくりとスピードを上げていくと、ファンの歓声も一気にヒートアップ。直線に向いて早くも先頭に立った。追いかけたのがダービー、菊花賞で2着に甘んじた同期のライバル・ウインバリアシオン。しかし、この時には力差が決定的となっていた。中山の急坂を楽に駆け上がり、ゴール前では軽く流して、ライバルに8馬身差という大圧勝。”まだまだやれる”、”今度こそ凱旋門賞制覇を”と、ファンにそう思わせながら、希代の名馬はターフを去り、種牡馬生活へと旅だった。
中日スポーツ