万博の渋滞緩和、試行「一定効果」も…混雑避けられず、府市が誘導策
大阪府や日本国際博覧会協会などは23日、2025年大阪・関西万博の期間中の交通渋滞を緩和するため、企業に在宅勤務などを呼びかける「交通需要マネジメント(TDM)」の試行結果を公表した。 現状ではピーク時の混雑が避けられない見込みで、府と大阪市は協力企業が万博会場のスペースを活用できるようにするなどのインセンティブ(報酬)を設ける。 万博の開催期間は来年4~10月。大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)の会場に計約2820万人の訪問が見込まれる。対策なしでは、会場につながる大阪メトロ中央線で朝のラッシュ時の混雑率が最大140%になるとみられ、府と市は120%への緩和を目標とする。 TDMの試行では、会期末と同時期の今年9月30日~10月4日に、府民や企業に平日朝の中央線と御堂筋線の利用を控えるよう呼びかけた。府市も会場に比較的近い咲洲庁舎の職員の通勤を7割以上削減した。 その結果、中央線のコスモスクエア駅などの降車人数を減らすためには、一定の効果があると見込まれた。一方、弁天町駅~朝潮橋駅の間では万博期間中の混雑率を大きく下げられる見込みの結果は得られなかった。 府市はTDMへの協力企業の登録を呼びかけるが、12月19日時点の登録数は約1600で目標の1万には遠い。このため、府市は23日、協力企業が名刺に「万博TDMパートナー」のロゴを記載できるようにしたり、一部が会場内の大阪ヘルスケアパビリオンの催事スペースを活用できるようにしたりするとした。 吉村洋文知事は報道陣に「インセンティブも活用し、さらに周知を徹底していく」と述べた。(原田達矢)
朝日新聞社