『梅干し界の坂本龍馬になる』食品衛生法の改正で梅農家が危機!?販売を取りやめた作り手も “伝統の梅干し”守ろうと立ち上がった梅ボーイズ
「梅干し界の坂本龍馬になる」業界の危機に立ち上がった『梅ボーイズ』
食品衛生法の改正により、道の駅などで売られていた自家製の梅干しがなくなるかもしれない。この危機に立ち上がったのが、和歌山県みなべ町の「梅ボーイズ」です。 リーダーの山本将志郎さん(30)は梅業界を盛り上げようと、全国の若者を集めて農園の運営や梅干し生産を行っています。山本さんは5代続く梅農家の三男として生まれ、幼いころから梅の収穫などを手伝ってきました。25歳の若さで会社を立ち上げた山本さん。実は、北海道大学大学院で薬学を学んでいましたが、大学院2年の時に大手メーカーの内定を辞退して梅業界に飛び込んできたといいます。きっかけは、遊び感覚で作り始めた、素材の味を生かした“すっぱい”梅干しでした。 (「うめひかり」 代表・山本将志郎さん)「(地元で)食べてたような梅干しが(北海道には)全然売ってなくて、友人はハチミツ梅しか食べてないという話も聞いて、せっかく食べさせようと思ったのに売ってなかったんで、じゃあ作るかと。そのときは本当にまだ遊び感覚でした」 そこから梅干しづくりにはまり、地元の梅産業自体にも興味を持ち、高齢化が進むこの業界を若い力で変えていこうと決意しました。 (山本将志郎さん)「(立ち上げた)会社がつぶれるかもみたいな状態からスタートしたので、その状態はもちろんつらかったんですけど、本当に僕がやらないとなという気持ちですね」 梅農家出身の自分がやらなければ。そんな気持ちで地元に戻った山本さんを実家のお母さんも応援しています。 (山本さんの母親)「いい就職先も決まってたんですよ。だから『うそやろ』って感じでしたけど、決めたら絶対曲げない子なんで。梅干しの仕事を頑張ってやろうって思ってくれるのはすごくありがたかったし、うれしかったです。『俺は梅干し界の坂本龍馬になる』って言ってたね。今も言ってるか」
農業の面白みは「自分で作ってお客さんに届ける」こと 費用を抑えて法改正に対応
山本さん自身も今回の法改正に課題を感じている部分があると話します。 (山本将志郎さん)「梅農家が最後まで自分で自分の梅干しを作ってお客さんに届けるっていいじゃないですか。それは農業の面白みにもつながっていた部分だと思うんですけど、そこが徐々に失われてしまうというのは農業の面白みが半減してしまうと思います」 山本さんの工場も法改正に合わせて改修を行いました。特徴は、小さな企業や個人でも取り入れられるような「費用を抑える工夫」です。例えば、作業場の壁は耐水素材である必要があり、緑の耐水塗料を“腰の高さ”まで塗りました。 (山本将志郎さん)「全部を耐水素材にすると費用が高くなるので、腰より上の部分はシートで覆って壁が濡れないように工夫をしています」