カメラから「思い出の新しい形式」を生み出す。イメージングブランドkyu創業者 大川優介インタビュー
道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す人「起業家」。未来に向かって挑むその原動力は? 仕事における哲学は…? 時代をリードする起業家へのインタビュー『仕事論。』シリーズ。 カメラから「思い出の新しい形式」を生み出す。イメージングブランドkyu創業者 大川優介インタビュー 今回は、SNSチャンネル登録者数のべ約50万人を誇る動画クリエイターであり、イメージングブランドkyu(キュー)の代表である大川優介(おおかわ ゆうすけ)さんにインタビュー。kyuのビジョン「人類の記憶を美しく」に込めた思いや、事業で叶えたい未来についてお話しを伺いました。
大学時代にはじめた動画配信。SNSアカウントが「名刺」に
──まずは、大川さんが動画を撮りはじめたきっかけを教えてください。 いま思い返してみると、子供のころから家族と一緒に海外旅行に行ったり、サーフィンみたいなアクティビティを一緒にしたり、と「いま、この瞬間を楽しむ」ということを大事にしてきたのが、一番のルーツなのかもしれません。 具体的なきっかけとしては、18歳のときにYouTubeで見た、ハワイのクリエイターの動画です。その人はサーフィンやスカイダイビングを楽しむ姿を動画で発信していたのですが、それに心を奪われて「自分もこれをやりたい!」と。すぐにアクションカメラを買って、SNSで発信しはじめました。 そのころは、動画を観てくれた友人や視聴者から好意的なコメントが寄せられて、シンプルに楽しかったんです。そうやって動画の投稿を続けているうちに、徐々に自分のSNSアカウントが名刺代わりになって、動画制作の仕事につながるようになりました。 ──動画を楽しんでつくっているうちに、ビジネスに結びついていったのですね。どういう経緯で起業したのですか? 動画制作を続けているうちに、お仕事も増え、その規模も大きくなってきたんです。音楽フェスの撮影をしたり、ラグジュアリー・ブランドのプロモーション映像なども手がけさせていただきました。 しだいに大きな仕事をするようになってきて、会社という形じゃないと不便なことが出てきたので、21歳のときに友人と共同で制作会社を立ち上げることに。あくまで「起業すること」は目的ではなく、その必要があったから、という感じでした。 ──動画クリエイターとして活動しつつ、その延長線上で制作会社も設立されたわけですが、そこからイメージングブランド・kyuを立ち上げるまでには、どういった変化が? 会社を立ち上げて1~2年は動画制作に集中して、YouTube動画からテレビCMまで手がけてきました。でもそうするうちに「自分が本当にやりたいことは、これなのか?」という葛藤を感じるようになったんです。 僕は会社をやるからには、孫正義氏やスティーブ・ジョブズ氏のように、新たな意味・価値を提供する事業をやりたい。もう一度、本当に自分たちのやるべき事業に向き合いたかったので、制作会社を徐々に終わらせる方向に進めることにしました。 そこでまず着手したのが、オンラインでさまざまなジャンルのスペシャリストから学べる動画学習プラットフォーム「your school(ユアスクール)」。これは2020年10月にローンチしました。 しかし、それから1年半ほど仕事に邁進し続けるうちに、今度は違った葛藤を感じるように。成長していく会社での事業と、コンテンツクリエイターとしての自分の活動の間にギャップを感じはじめたのです。「この場所でクリエイターとして個人プレイするのは不均衡なのではないか?」と。 そこで自分の活動の根本に立ち返って考えたんです。18歳から動画をつくり続けてきた自分にとって何が大切なのか? なぜ動画をつくってきたのか? それはきっと、自分の人生を記録することで、深く「自分が経験してきた人生はよかったんだ」と感じることができるから。その気持ちや喜びが自分自身を形成しているんだと気づきました。そして、この「記録」こそが人生をかけてずっとやれる領域なんじゃないか、と思ったんです。 その想いを胸に、「記録の再発明をする」という目標を掲げてkyuを立ち上げました。