【ノア】斎藤彰俊が引退試合「夜空に輝く月に一点の雲なし」丸藤正道のランニングエルボーで散る
<プロレスリング・ノア斎藤彰俊引退記念大会Deathtiny:名古屋大会>◇17日◇愛知・ドルフィンズアリーナ セミファイナルで斎藤彰俊(59)が丸藤正道(45)と引退試合を行い、34年のキャリアに終止符を打った。 斎藤は「彼の背中に三沢(光晴)さんを感じる」と最後の相手に指名した丸藤に対し、強烈な裏拳をたたき込み、アイアンクロースラム、スイクルデス(延髄斬り)、ランニングスイクルデスとたたみかけた。 だがトドメを刺そうとしたスイクルデスを虎王(二段式飛び膝蹴り)で防がれると、丸藤から三沢さんの得意技エメラルド・フロウジョンを浴び、最後は三沢さんの代名詞ランニングエルボーで3カウントを奪われて、現役最後の試合を黒星で終えた。 斎藤は09年6月13日に故三沢光晴さんと対戦。その試合でバックドロップを受けた三沢さんが亡くなるという悲劇に見舞われた。自死や引退も頭をよぎったという斎藤だが「この2つは、自分で責任を取ってるようには見えるんですけど、じゃあ、残された人たち…例えばファンの方とか、身内の方とか、選手が気持ちをぶつける相手がいなくなったらどうなるのか」と考え、翌日もリングに上がった。 それから月日は流れ、いよいよ背負っていた重い十字架を降ろし、引退を迎える日が来た。斎藤はマイクで関係者やファンに感謝を述べた後、「天におられるあの方…俺の師匠(三沢さん)、それから(新日本プロレスに)殴り込みをかけた時に戦っていただいた大先輩(小林邦昭さん)、それから空手の師匠(青柳政司さん)、そして青い目の仲間(共にGHCタッグ王者だったバイソン・スミスさん)、本当にありがとうございます」と、亡くなったレスラー、格闘技仲間たちへ感謝の言葉を口にした。 そして最後に「俺がリングを降りるその時まではプロレスラーだ。だから見えを切らしてくれ。倒れぬ、疲れないのがプロレスラーだ! 方舟に乗りし人生。わが心、夜空に輝く月に一点の雲なし!」と叫んで長いレスラーとしての旅路を終えた。